負傷というか重症
あの戦いの翌朝、目が覚めるとベッドの脇からアクアが心配そうに俺を見ていた。
俺の目が開いていることに気付くと、ぱぁと花が咲く様な笑顔を浮かべアクアが朝の挨拶をしてきた。
「おはようごさいます、マスター」
黒うさみみの女医が耳を傾げながら、俺の身体をぺたぺたと触診している。
垂れたうさみみもぺしぺしと、俺の胸板を触診している。
何でうさみみってあんなに握りやすそうなんだろうか?優しくさわさわしたい。
全身魔力と筋肉の酷使による炎症、全治1か月ですね。
黒うさみみの女医が言った。
「なんとかまかりませんかね?」
「まかりませんよ、ライオンブルー」
俺は赤面した。
アクアは図書館の使用許可が降りたらしく、この世界のことを調べにいった。
俺はというと、朝飯を魔術の訓練も兼ねて念動力で食器を動かし食べていた。
メニューはパンらしきものと、豆らしきものとトマトらしきもの煮だ。
最後に1粒残った豆らしきものに苦戦していると、ライオンレッド!?がお見舞いにきた。
「調子はどうだ?」
どっさりとサイドテーブルに手紙やらお菓子やらフルーツやらを置く。
どうやら俺宛のファンレターと、お見舞いの品らしい。
「全治1か月らしいです」
「そうか、すまんな……」
「実はお前に言いたいことがあるんだ」
「へぇ、なんですか?」
「実は俺はレオン=アルムなんだ!!」
あたかも、今から重大発表しますよ!という風に、気合いを入れてガバッと仮面を外す。
「ヘエー!オドロキマシタ!!」
うん、普通に知ってた。
実はなと、国王が何故俺と決闘紛いの戦いをするに至ったか話し出した。
「最近この森のドリアード達が騒ぎだしたのだ」
ドリアードが騒ぐということは森に何か異変が起こっているということだ。
「急に森の一角が立ち枯れたり、魔物が頻出するようになった。スティナ達が出会った、ワイバーンやアシッドドラゴン等も普通この辺りには出てこん」
「少しでも戦力が欲しい所にお前が現れた」
「それが何故闘技場で戦うことに繋がる?」
国王の考えは理解できる。
この国王、馬鹿ではあるが国民のことをとても大切に思っている。
少しでも国民に降りかかる危険を減らしたかったのだろう。
だがおかしい、普通に報酬を出して俺達に仕事を依頼すれば良かったのだ。
「お前の人柄が見たかったからだ」
あいやすまんと、わざとらしく言い忘れた言葉を付け加える。
「娘と養女であるアネッテの夫となる者のな」
意地の悪い笑顔を浮かべながら国王が言った。




