精霊と獣人の国①
「アルム精霊王国の国王、お父様とお母様に会っていただきたいのです」
アルム精霊王国
国土の9割を河川と広大な森林に覆われており、森の精霊ドリアードと獣人が共生関係を築いている。
ドリアードと意志疎通するために、使用されているのは精霊語。
主に農業、狩猟、採取で日々の糧を得ている。
俺は「獣人の国」と聞いて目をクワッと見開くと。
「獣耳ですか?!」
と俺は訳のわからないことを口走る。
「獣耳?ああ、先祖がえりのことですね。
魔力の多い人にしか発現しないのです。
全国民のそうですね…1割程度かと思われます。
男性と比べて魔力の比較的多い女性に良くみられる特徴ですね」
スティナがふよふよと自分の耳を触りながら説明してくれた。
モフモフパラダイスを想像していた俺は嘆き悲しんだ。
「とりあえず今日の内に王都に入りたいので、この後すぐに出発します。夕方には到着する予定です」
「あと、私達を助けていただいたお礼もしたいと思っておりますので、是非我が国に来ていただきたいのですが…」
スティナが付け加える。
「わかった」
こちらとしても情報、補給物質を手に入れたかったので好都合である。
「アクアいい加減に離れろ」
「嫌です」
この水精霊、復活してからどうも情緒不安定である。
天幕からでると兵士達は隊列を整えていた。
「昨日はありがとうお客人!」「キャー!蒼騎士様!!」
などなどなんとも面映ゆい。
「顔がにやけてますよ、マスター」
おっといかんいかんと目に力を入れ立て直す。
騎士の中でも位が高いのであろう、兜にふさふさの装飾をつけた騎士が、兜を外しながら近づいて来た。
「君達おかげで助かった。
あの状況で一人も死者が出なかったのは奇跡に近い。
それはそうと私の孫娘とお見合いせんかね?まだ6つなのだが将来必ず美人になるぞ」
アクアが迎撃する。
「いえ私達は旅の途中なのでひとところに落ち着けないのです」すみませんとお見合いをかわした。
「マスター?」
さっきから反応のない主人を怪訝に思い振り返る。
耳が!耳が!と何処かで聞いたことのある台詞を言いながら、必死に精神が汚染されないよう顔を背けていた。
目の前の年期を感じる騎士は、頭が太陽の様に剥げかえっており、ハゲに犬耳が2つ、俺はここにいるぞと存在を主張しているのだった。




