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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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未知の敵

「ゴメン外した!!」


「いや外したんじゃない!!避けられたんだ!!もう敵に気づかれているぞ!!!!」


「送還!!」


俺はスナイパーライフルを虚数庫にしまうと同時に、水中銃、トーピドーをセット済みの多目的ミサイルポット、銛を改良したハプーンガンを取り出し、手動で機体に取り付けた。

アクセリナは手筈通り船の上に残る。

彼女は水中では力を発揮できないので上からの援護に徹する。


「いくぞ!!アクア!!」


「了解、マイマスター」


変形が完了し、翠から水色に変わったフレームが、派手な水しぶきを上げながら水中ダイブする。


「クソ、やはり敵は視認できないか!!」


魔力反応、熱源反応共に感知できない。


「マスター、ソナーを使います」


断続的にソナーを使っていると敵の全体像が分かってくる。


「こいつは?何だ?かなり大きいが海竜や魚ではないぞ」


その時、俺を目掛けて高速で飛来する金属反応を検知。


「?!!」


鳴り響くアラートを聞いた瞬間に、体が反射的にジグザグに回避行動をとる。


「金属の矢だと…?!」


「ウォーターウォール!!」


アクアがアクセリナ達の乗っている船を守るために中級の水魔術を行使する。


「船長、アクセリナに従って全力で回避行動をとってくれ!!」


『了解よ、何か飛んできているようね。上は任せて行ってらっしゃい』


とにかく近づかないと一方的にやられるだけだ、矢が飛んできた方向に急ぐ。

連射間隔はそこまでではないが矢の質量がかなり大きく、当たればかなりのダメージになるだろう。

おまけに、かなりの精度で照準してくる。


「マスター、矢は柱の様なものの先端から発射されているようです。その柱は海底の方から伸びていますので、大元はそちらでしょう」


「わかった。潜航するぞアクア!!」


回避行動をとり、時折直撃コースをとる矢をシールドで弾きながら潜航する。


「マスター右に避けて!!」


アクアに従い左サイドブースターを全力で吹かす。

俺がさっきまでいたところを何か巨大な質量が通過した。


「あんなものに当たったら一撃でやられてしまうぞ!!」


「左に避けて!!」


「!!!」


回避しながらハプーンを撃ち込んだ。

銛が柱状の何かに突き刺さり爆裂した。

改良した銛は、先端に炸薬が仕掛けてあり、突き刺さると同時に爆発するようになっている。



その後、敵は痛い目をみたせいか攻撃が散発的になった。

程なくして海底に到達。

辺りが暗く何も見えないのでライトをつける。


「やはり何もいない?!いや、これは!!」


それはあまりに大きくて小さな俺には気が付かなかった。

乗って来た船の倍、いや、3倍はあろうかという、大きな真っ白の二枚貝。

こいつが船を沈めていた元凶だったのだ。


「貝か、姿がわかればこっちのもんだ!!」


いくら殻を閉じていようとトーピドーなら!!

両肩のミサイルポットから有線式魚雷を左右合わせて6発、二枚貝に向けて発射する。

6発とも命中。


「どうだ?!」


煙が晴れるとそこには、黒々と金属の装甲を纏った無傷であろう二枚貝が鎮座している。


「な、何だと、あいつ金属を操れるのか?!」


地球でもそのような貝は存在したが、ここまで大きくなるとかなり厄介だ。


「マスター!何か相手から高出力の魔力反応を検知!!注意して?!!」


いきなり俺の視界一杯になる二枚貝。


「ウォーターウォール!!」


全力で防御魔術を張る。


「があっ!」

「きゃあああああーー?!」


ジェット水流を吹き出し、その反動を利用して巨体で体当たり敢行してきた二枚貝。

モニターに複数のエラーメッセージが表示される。

左腕がやられたようだ。

瞬時に、水魔術で防御したが貫通。

左腕が犠牲となった。


「魔術回路がやられたようです…っ。マスターの左腕も深刻なダメージ、この状況で治療は無理です!!」


痛みを感じない。

これは相当に危険だ。

おまけに持っていた水中銃もひしゃげて壊れてしまっている。

だが、タダでは転ばなかった。


貝に接触する瞬間、援護の目印となるビーコンを殻に取り付けていた。


「アクセリナ!!ビーコンに目掛けて対潜迫撃砲を片側全部、ぶち込めェ!!!」


『了解!!アネッテ前方30m付近に全弾発射よ!!』


ブースターを吹かしながらこちらに迫撃砲が向かってこないように魔力を隠蔽し、俺はなるべく標的から距離をとる。

爆音と共に海底に、焔の花が咲き誇った。

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