復讐の西部Ⅱ
1
アメリカ。西部開拓時代。酒場で白人の男たちが集まって賭け事をしている。
「昔、俺たちがインディアンを何十人も殺したこと覚えてるか?」
「ああ、確か二十年ほど前のことだったな」
2
二十年前。弓を持ち、馬に乗ったインディアンの青年アル。仲間たちと狩りをしているとき、アルは女の悲鳴を耳にする。アルが悲鳴のする方へ行くと、馬に乗った白人の男たちに追われている若い白人の女を見つける。アルは馬を走らせると、男たちに向かって矢を放つ。男たちは逃げ去って行く。アルは女を拾い上げる。
3
アルは女をインディアンの集落へと連れて帰る。仲間たちと話をするアル。
「あの女は俺たちの土地を侵略している白人たちの仲間だぞ」
「でも……」
「ここから追い出すべきだ。今に良くないことが起きる」
4
「君をここから追い出すなんて僕にはできないよ」
アルは馬に乗ると、女の手を取る。
「ここを出て、二人だけで暮らそう」
二人を乗せた馬が夜の闇に消えてゆく。
5
大きくなった女のお腹に耳を当てるアル。
「すごい、赤ちゃんの音がするよ」
6
集落に白人の男たちがやって来る。
「俺たちの女を奪い、仲間に傷を負わせたインディアンたちを皆殺しにしてやる!」
7
アルのもとに瀕死の仲間のインディアンの男がやって来る。
「集落が白人たちに襲われた……」
「おい、しっかりしろ」
男は息を引き取る。
8
アルは弓を持ち、馬に乗る。女はアルを止めようとする。
「大丈夫、必ず戻って来る」
アルは女にキスをする。
9
荒れ果てた集落と仲間の死体を見て怒りに震えるアル。アルは白人たちに拳銃で撃たれながらも、弓矢で必死に抵抗するが、ついに力尽きて息絶える。
10
二十年後。一人の青年が酒場に入って来る。白人の男たちは賭け事を止めて青年の方を見る。青年は白人ともインディアンともつかない顔立ちをしている。突然、拳銃を抜く青年。
11
激しい銃声の後、青年が酒場から出てくる。酒場の中には白人の男たちの死体が転がっている。
12
墓場で祈りを捧げる青年。
「父さん、仇は討ったよ」
墓石にはアルの名が刻まれている。
(完)