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第百話:少女は何を拾う④

 翌朝、マオに朝ご飯の準備をしながら、ユキは謝罪した。


「ごめんなさいね。マオがお話の途中で寝てしまって」

「いえいえ、それだけ耳に心地よかった、ということです。リラックスして聞いてもらえてうれしいですよ」


 相変わらず、荷台に縛られたままのグリーが、優しく微笑んで言った。


「今日はちゃんと聞く!」


 マオがグリーを見ながら言った。


「良かったら、街までの移動中、またお話を聞かせてもらえないかしら」

「ええ、問題ありませんが、私が荷台にいたら、車内にいるマオちゃんには聞こえないのでは」

「そうね。グリーには助手席に乗ってもらうわ。わたしが真ん中で、マオが運転席に座るの。これでいい?」

「ああ、車内に乗せてもらえるのですね。その方がたくさんお話できるのでありがたいです」

「もうすぐ雨が降るみたいだしね」


 ユキが空を指さした。

 灰色の雲が広がって、風が冷たくなってきた。

 早々にマオの食事を終わらせ、レッカーの荷台を青いビニールシートで覆うと、マオを運転席に座らせ、次に自分が真ん中、そしてグリーが助手席に座った。


〈ユキの予想は当たったな〉


 レッカーが冷静に言った。

 しとしとと雨が降り始め、森の中の幅が広い道には霧がかかり始め、視界がだんだん悪くなってきた。

 フロントガラスにも水滴が付き始め、いくつかが上から下へと流れていく。

 運転を任されているレッカーは、ヘッドライトを点けて、周囲の確認をしっかり行いながら慎重に走る。


「ここから目的地の街までは、どれくらいで着きそうですか」


 グリーが尋ねる。


「そうね、このペースだと二時間くらいかしら」

「では、その間、休憩をはさみながらいくつかお話をお聞かせしましょう。その前に、昨日のお話の続きを……」


 グリーは電子ピアノを鳴らし、再び魔法使いの女の子のお話を始めた――



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