30/33
祝 30話 △おにぎり
なし
なんとはなしに
急に元氣になって
ストレッチしている那緒さん。
そして
「昼だ、昼飯だああ」と叫び
リュックをあさる那緒さんと
なんとはなしに
並んで座る
湖の絶景を眺めながら
自分もリュックを開け
バスの中で配給された
きれいな三角のおにぎりを食べる
黙って二人で食べる
何も話さない
とんびが鳴きながらとんでいる
遙か湖の方へ飛んで行く
2個目のおにぎりを
食べようとリュックから出しながら
千利休が死んだ後
子どもはどうなったのか
こんな時に
何か話さなければと思いながら
なぜか
そればかりが
氣になってしょうがなかった
とんびはいつの間にかいなくなっており
青い空だけが
どこまでも続いていた
なし




