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やまあじさい

なし

リースを作りながら

はたと武男に先生は目をやり

鋭いまなざしで


「あなたは見た目と

 違っていいかんしてるから

 きっとものになるわよ

 ちゃんと私のわざ

 みておきなさい」


少しきつい言い方で先生が

私に言った。


すこしきつい言い方であったが

武男には、それは叱咤激励する

愛の鞭のように感じられた


つくりかたは簡単で

ツルのような枝をさっとまるめて

リースを作り

そこにやまあじさい、ゼラニウム

西洋あじさいを配置

最後に

アクセントにアケビのつるを

彩るのである。


「実はね

 この花たちは、そこの前の

 庭からとってきたものよ」


「リースの母体のつるは

 職員の人が山からとってきた

 ものらしいけどね」


驚いた

そんなに簡単に材料が手に入り

自分でアレンジできるとは

大きな出窓から見る前庭には

宿泊所によくある

色とりどりの

あじさいたちが誇らしげに

悠々と鎮座していた


その素晴らしい窓に

昔のハウスメーカーの癖が抜けきれず

出窓脇の扉から外に出てみれば

そこはウッドデッキになっていて

デッキはよく整備され

素晴らしい木のつやがでていた


「こういったところで

 花をとりながら

 いけたら

 素敵でしょうね」


思わずつぶやいたのを

いつの間にかデッキまで

来ていた先生


「あらっ、やだ、あなた

 いい感性持ってるじゃないの。

 私も、本当はそうしたかったのよ、

 それが一番自然だし

 そういった感性を磨いてほしかったのよ」


「あなた、本当に初めてなのに

 すじがいいわね」


「氣にいったわ

 せっかくの花を余してもなんだから

 もう一つ作るわ」


そういうなり

室内に入って

「ちょっと、ちょっと

 みなさん、聞いてくださる

 最後にちょっとおもしろい

 趣向として

 催しをするわよ。

 さあさ、中央に集まって」


そういって先生は、手をたたきながら

参加者の周りをまわった。









なし

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