ハローワーク
なし
○○ 前作からの登場人物 ○○
上 武男。35歳。もちろん未婚。
住宅メーカーに勤めるもリストラ、現在無職。
大好きなアルマーニも、サングラスも今は形無し。
朝井 和利。34歳。昨年の青年教室で知り合ったやつ。
イケメン。しかし、ちょっとおねえ。
林 めぐみ。25歳。無認可の保育園勤務
目鼻、アイラインくっきりの健康美人。
鈴木 那緒。通称 壁の華のお嬢。マッチョ好き。
市内高級クラブ勤務。
実家の手伝いと言っても景氣も、はぶりもよくはなく
朝がはやいだけで、あとは店番
たまに親父の生鮮食料品の買い出しに
10kmほど南下した市場に同行するくらいで
ロータリーをみる余裕ありあり
ようは暇なのだ、暇でしょうがないくらい
物が売れないのだ
忙しくて、朝の通勤客が
こそっと朝食を買うくらい。
コンビニが進出しなかったこともあるが
よくこの店で、10年もやってきたもんだ
逆に言えばコンビニも出店しないくらいの
寂れた田舎町。
と言うこともできるが。
それにしても、
親父とおふくろよく生きてきたなあと
現在居候の身ながら人ごとのように思う
しかし、かくいう武男もちょっと前までは、
名のある住宅メーカー勤務。
大手勤務とあれば
地元の不動産ともつーかーで
安いアパートを、会社のお金で
借り上げてもらって住んでおったのもつかの間。
今はリストラ、追い出され、ふけばとぶような
本当にしがない、いそうろう。
そんな悲しい武男の唯一の楽しみ
それは、朝井と行く、青年教室。
今年も、初回からたんたんと開催された青年教室。
やあ、今年度もはじまるかという
春の花咲く4月。
会社の歓送迎会で
酔った勢いで、やっと宣告できたと思われる
部長から突然の解雇通告をうけ
次の日、何かのまちがいだろうと
再度聞いてみても
本社の決定とにべもなくリストラを告げられ
しがない敗戦処理の後。
新緑のまぶしい5月からは
ハローワーク通いとなった。
しかし、まあまったく似たような人が多いもので
世間の不景氣を痛感。
しかし、がたいががたいだけに
武男も仕事を選ばなければ、
がてん系はたくさんあり、
「そっちの方がお似合いです」と
高卒あがりと思われる
かわいいハローワークの窓口女性に
熱心にくどかれもした。
しかし、決まって武男は
「もう少し考えさせてください」
その台詞を口にした。
聞けば、ハロワーの待合いでの茶話で
復興にともなう、無茶な土建屋の話をたくさん聞き。
そうかと思えば、海辺の方ではスナックやクラブなどの女の子の
お店が大繁盛している、という。
お金がながれてうずまいている。
そこに、武男は、
やり場のないものを感じていた。
しかしながら、日参したハローワークも
結局はむなしく。
武男のハロワー通いは6月に集結し、
いつの間にか実家に帰り
店を手伝う暗黙の了解となっていた。
なし




