素焼き鉢12号
なし
次に、いろいろな道具が並んでいる教室の中央に
連れて行かれた
私がきょろきょろしていると
「ガーデニングは初めてね」
そう言って
氷見さんは
静かにしかし集中して
わかりやすく私にガーデニングの基礎を教えてくれた
人間は
この人は本当に自分のために
教えてくれているんだとわかると
自然にその内容が頭にはいるもんだな
そう思った。
目の前に説明された
素焼き鉢、アイアンチェスト
バスケット、アンティークなもの
ブリキのまあるい鉢や、しかくい鉢。
いろいろなものがあった。
思わず迷わずに
普通の
素焼きの大きな鉢を選んだ。
私が迷わずその鉢を選ぶのをみて
いきなり氷見さんが笑い出す
腹をかかえている
突然の大きな笑い声に
教室の何人かのお嬢が
こちらをちらりと見る
しかし、氣にせず氷見さん続けて
「私もそれ、あなたが、
いやかみさまが
とると思ったわよ」
かみさまにアクセントをおいて話す
言い当てられたことの妙な一致に
苦心しながらも
自分のがたいからか
なぜかそれを選んでしまった。
まあ一般的なもの。
ホームセンターでいつも見かける
安心感もあったのだろうと
自分で自分の心に
見当をつけた
「さて、ここからは私の
出番ね、よくみておきなさい」
そういって氷見さんは
武男と同じ
12号の鉢をとって
何かを作り始めた。
なし




