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イエローブーケ

なし

病んでいるのだろうか?

組み合わせはいったいどうすれば

どう配置していいかわからない


目の前に、小さな箱庭。


そうそう

心理療法で

こんなのがあったのを思い出す

まさに、病んでいる、

いやあ悩んでいるのか。

そして、箱庭療法で使うのは積み木か


参加者、皆一心に自分のお氣に入りの入れ物

花やら、草やら、を探している


そして

ホワイトボードには


「お好きな花で、お好きな草で、お好きな鉢で

 あなただけの寄せ植え」


なんと甘い響き、そして自由。

しかし別な言い方をすれば、それは人任せ、放任。


文字は、びっくりするくらい華奢な

優しい字で書かれている


そして、前方に目がいって驚いた

講師はなんと男性であった

白い七分袖のカットシャツ

黄緑をさらにうすくしたような

綿のパンツ


髪がブラウンなショートカットから

てっきり女性だと思っていた。


ここにも朝井のようなフェミニンが

いらっしゃった。


講師はどうやら

黙って入ってきた私を観察していたよう

しかしそこは

さすがに役場、電話で講師に調整済み。

根回しはできているようで


驚きもせず、私の方に近づいてきて

「よろしく」

手を差し出してきた

帽子もかぶらないで入って来た

スキンヘッドの

そして、一見かたぎでない雰囲氣の私に

なにも抵抗もなく言葉をかける

そこに驚いた。


そういやこの部屋に入った時も

誰も私に氣もとめていなかったっけ

それで自然に振る舞えたのか

もとい、参加者がそれだけガーデニングに

集中しているのか


私はそんなことを考えながら

出された手を

思わず自分でひっこめてしまった


「シャイな方ねえ」


と静かに笑いながら、おもしろいものでも

みるように、ほがらかに言う

そりゃそうだ、ここに男は私だけ

さらにスキンヘッド

でも今まで武男がされたような

恐れている氣配はない


そして思わず氣づいたというように

部屋の隅の女性を見て


「あなたの隣は私のアシスタントよ

 ちょうどいいからあなたは、彼女に教わりなさい

 ほかの皆さんはすじがいいようだから」

 話している途中で自分で自分に

 おもしろかったのかフッフッフと笑いながら

「さあ挨拶なさいな」


そういって、アシスタントと呼ばれた女性に

挨拶を催促する。


しばらく

ほらほらと催促していると、

向こうから甘ったるい声で

「せんせーい」と

細幅プリーツ満載のスカートをはいた

いかにもお嬢様。


先生は、役目は終わったとばかりに

手をひらひらさせながら行ってしまった。

白や黄色の花々を丸く彩り

作業の手を休めずにブーケを作っている女性。

作業をしながら

静かにその人は

「氷見 桂子です」

と名乗った。


なし

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