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袁紹的悪夢行  作者: 青蓮
プロローグ
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プロローグ 袁紹~霧の中にて

三国志知らなくても人物の名前が読めれば普通のホラーとして楽しめるはず!なので登場人物の読み方と説明は最初に登場する話の前書きに置いておきます。

逆に三国志が好きでも、血とかクリチャーとか猟奇が嫌いな方はよしたほうがよろしいかと。



袁紹エンショウ本初ホンショ 生年? 没年202年

後漢の名門、袁家の当主であり一時は河北を支配して天下に最も近かった男。曹操に敗れて天下への夢を断たれ、心労から病死する。名家の当主ということでお坊ちゃん的に描かれがちだが、実は妾腹の子であり、嫡腹の異母弟である袁術エンジュツとは対立していた。袁譚エンタン袁煕エンキ袁尚エンショウという三人の息子がいる。

 気がついたら、城は霧に没していた。

 寒々しく、先の見えぬ霧に……


 私は、どこかでこの感覚を知っている……?


 彼は、ぼんやりとそう思った。


 毎日毎日、怯えて過ごしていた。

 本当の母と引き離され、継母に邪険にされて育った。


  なるほど、娼婦の腹から生まれたから、紹というのねえ。


 明日、何をされるか分からなかった。どんな恐ろしいものが出てくるか、何も見えなかった。


  それでも初めに生まれたから本初だって?

  ふざけるんじゃないわよ!!


 頭に響く、ぼんやりとした罵声。

 悪夢が、霧の中にこぼれ出る。


「私を助けて!」


 袁紹は叫んだ、しかし助けてくれる者はいなかった。

 みんな、継母の持つ名家の威光を恐れて手を出さなかった。


  継母とはいえ、孝行すれば必ず分かってくれます。

  割り切って、捨扶持だけでももらっとけばいいでしょう。

  こんな家の子に生まれて何が不満なんだ、おまえは外を知らないからそんなわがままを言うんだよ。


 きれいごとばかり言って、私の体に刻まれた傷には目もくれずに。


 でも、今は私がその名家の威光を着る者になってしまった。


 今こうして怪物に襲われているのは、その罰なんだろうか?


 血のような体液を撒き散らすミミズかイモムシの化け物。

 貪欲に肉を貪る犬の化け物。

 顔面に板を貼り付け、ハリセンボンのように釘を打たれたエプロン姿の化け物。


 皆、私が憎いのだ。

 疎ましくて、殺したいのだ。


 そうすれば、彼らは楽になれるかもしれないから。


 噛まれた瞬間に、彼らの意思が感じられた。


「楽になりたい、楽になっていい、楽になればいい。」


 あれ?

 体を引き裂かれる、痛み……しかし、違和感はほとんどない。

 ああ、そうか……私はとっくに、引き裂かれていたんだから。


 袁紹は白い石畳を赤く染めて、その場に崩れ落ちた。


あくまでプロローグなので、まだ具体的な進展がなくてすみません。

次からは、悪夢に招かれた人物との話に移っていきます。

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