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8-6 捜査の結果、もう一つの事実が判明する。
エリックは、25周年を迎える二年前からサイバーサイジング社の顧客だった。
当初は問題はなかった。
だが、二十五周年のあのスピーチで、アダソン兄弟への継承と、継承と同時に制度整備の話が表に出た頃から、関係は悪化する。
彼は、それに強く反発していた。
「制度が入れば、自由が失われる」
「お前たちは、会社を歪める」
そう主張し始め――その翌年に、事件は起きた。
この事件が、単なる殺意や衝動によるものではなかったということは、捜査が進むほどに否定しづらくなっていった。
当初は、激情に駆られた凶行として扱われていた。
だが、押収された記録、残された言葉、行動の痕跡を一つずつ検証していくうちに、それだけでは説明のつかない整合性が浮かび上がってきた。
偶然では済まされない準備。
衝動では説明できない計画性。
そして何より、目的が「個人」ではなく「構造」に向けられていたという事実。
それらが揃ったとき、捜査関係者の間に、ひとつの認識が共有されるようになった。
――この事件は、感情の爆発ではない。
――思想に基づいて組み立てられた、意図的な行為だった。
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