前へ目次 次へ 52/93 11.封筒――静かな終わり 午後、静かな廊下。アレックスは封筒を一通、手にしていた。厚くもなく、軽い。上司の机に置く。 「……これで最後か」 「ええ」 上司はしばらく封筒を見つめてから言った。 「君たちは、最後まで“正しい辞め方”をした」 握手はなかった。だが、それで十分だった。 二人は組織を壊さない。 組織を恨まない。 ただ、思想を最後まで通す場所を、自分たちで作る。 その瞬間、FBIの外へ出たのではなく、FBIの思想を“別の形で完成させる道”に踏み込んだのだと、二人は理解した。