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10.辞表提出の朝――いつも通りの朝食

やがて、辞表を提出する朝が来る。アダソン宮殿の食卓には、いつもと同じ朝食が並んでいた。ジェイムズとマックは、まだ「今日」が何の日かを知らない。


アレックスはネクタイを整えながら言った。


「今日は、少し早く帰れるかもしれない」


ジェイムズが顔を上げる。


「ほんと?」


「うん」


それ以上は言わなかった。この日は親としてではなく、職務として区切る日だった。


“最後の日”という言葉を子どもに渡さない。

子どもに渡すのは、安心だけだ。

それが二人の家庭のルールだった。


挿絵(By みてみん)

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