表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/93

7.深夜のメモ――越えてはいけない線

その夜。子どもたちが眠り、屋敷の明かりが落とされたあと、アラクネアは書斎の机に一冊のノートを置いた。真新しい、何の装飾もないノート。


彼女が最初に書いたのは「何をするか」ではなかった。「何をしてはいけないか」だった。


国家を離れても、国家機密に触れた経験を利益に変えてはならない。情報を恐怖や不安で売ってはならない。合法であっても正しくないことはしない。守れない約束は最初からしない。


ペンは迷いなく走った。それは衝動ではなく、確認作業だった。


後からアレックスが書斎に入り、黙ってノートを覗いた。


「会社の規則じゃないな」


「ええ。私たち自身の制約よ」


彼は静かにうなずいた。


「それがないと、どこまで行っていいか分からなくなる」


この深夜のメモは翌日も、その次の日も続いた。まだ会社は存在していない。だが、越えてはいけない線だけは先に引かれていた。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ