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プロローグ

新作です





「あー、マジですか。これ、いわゆる異世界転生よね?」



 美樹本彩花、新卒二年目の二十四歳OLは事故死してしまった。

 不運に不運が重なったような、多重事故だったと思う。とにかくそれに巻き込まれたアタシは、生前にやっていた乙女ゲームの世界に転生してしまった。そこまではいい、よくないけど。

 何はともあれ、アタシは二度目の生というのを授かった。

 しかも作中でも有数の大貴族である、ルクセンブルク家の令嬢に。ただ、



「……破滅エンド確定じゃん」



 問題はその転生先だった。

 ルクセンブルク公爵家令嬢、エレオノーラ・フォン・ルクセンブルク。金髪縦ロールに勝気な青の眼差し、そして成熟した女性らしい身体つき。成績も優秀で、見事なまでの才色兼備。見目麗しい彼女であるが、作中での役回りはヒロイン、シルヴィアへの嫌がらせ担当だった。

 要するに悪役令嬢、というやつで。

 シルヴィアが攻略対象と結ばれた際には、もれなく酷い報いを受けていた。



「でも、いまから色々と根回しすれば間に合うはず……!」



 しかし日付を確認した限り、まだ物語は始まったばかり。

 これから季節が一回りする間にできる限り、善良に振る舞ってさえいれば運命は変えられるはずだ。アタシはそう考えて、咳払いを一つ。

 覚悟を決めて、学園へ通う身支度を始めるのだった。





 エルタ王国の中心に位置する、王都立魔法学園。

 ここには王都の内外から、様々な才能を持った人物が集められていた。その多くが各地域の領主の娘であったり、貴族の嫡男であったりする。基本的には身分による扱いの差があるのだが、極稀にそういった通例を打ち破る存在が現れるのだった。


 それこそが、この作品のヒロインである平民出身のシルヴィア。

 魔法の才を新興貴族であるアークライト家に認められ、養子に迎えられた少女だった。長く美しい銀色の髪に、優しげで幼い顔立ち。その性格は明るく誰にでも好かれるようなもので、物語では数多くの試練を乗り越えていく胆力も持ち合わせていた。

 偏見や格差なんて、なんのその。

 まさしく主人公、つまりヒロインに相応しい人物だった。



「さて、そんな人徳お化けにアタシはどうするか……?」



 その公式チートに対して、アタシは入学式の間に作戦を練っている。

 物語がそのまま進むのであれば、アタシことエレオノーラとシルヴィアのファーストコンタクトは三日目の朝のはず。平民の彼女に敵対心を剥き出しに下アタシは、初対面からものの見事に悪印象を抱かせるという感じだった。

 だったら、それをしなければいい。

 もしかしたら何かしら修正が行われるかもしれないが、まずは試してみなければ。



「えー、それでは各々自身の教室へ向かうように」



 そう考えている間に、入学式は終了していた。

 アタシは教員の指示に従って、ひとまず教室へ行こうと立ち上がり――。



「――あ、あの!」

「え……?」



 そこでどこか聞き覚えのある声で、呼び止められた。

 なんだろう、違和感がある。そう思ったが、いつまでも返事をしないのは相手に悪い。アタシはそのように考えて、声のした方へと振り向いた。

 すると、



「…………!?」

「あの! エレオノーラ・フォン・ルクセンブルク様、ですよね!」



 そこにはなんと、この物語のヒロイン――シルヴィア・アークライトの姿。

 困惑してなにも口にできないアタシに対して、彼女は明るい表情で言うのだった。



「私、シルヴィアっていいます! あの、私――」



 本当に無垢で、屈託のない笑顔を浮かべながら。




「エレオノーラ様に、お会いしたかったんですっ!」――と。




 


面白かった

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