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穢れた世界の救い方  作者: 月影偽燐
3章.神域試練編
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3.光の剣戟

「終焉神から聞いていたが……お前が破壊神か」


ノアとリオエスタは目を合わせ、対峙する。


両者からは一切の油断を感じられず、互いに殺気を放っていた。


「ええ、そうですわ。わたくしこそ破壊神。この世界の、破壊の概念を司る正真正銘の神───」


言葉を発しながらリオエスタは右手に鮮血の如き紅い魔力を収束させる。


血で組み上げられる魔法はノアもよく知る魔法───


「『壊撃(ガルム)』」

「───ッ!?」


───だが、その威力はノアの比ではない。


存在するだけで空間を蹂躙していたリオエスタが破壊の魔法を行使したのだ。込められた破壊の力はノアのそれと比べるまでもなく膨大であった。


「『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』!」


ノアはリオエスタの行使した『壊撃(ガルム)』の上位互換となる魔法を白雪に纏わせながらその右手を迎え撃つ。


素手と界律神装、『壊撃(ガルム)』と『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』。


この条件において、全ての要素がノアに対して傾いている。


故にリオエスタの右手が一方的に弾かれるか、破壊の斬撃が右手を切り裂くか……


どちらにしろ、この局所的な場面においてはリオエスタに勝ち目などない───


はずだった。


鳴り響く轟音。


それと同時に、ノアを莫大な衝撃が襲う。


「ぐッ!?」


弾かれたのは───ノアの方だった。


「───なんで」

「ふふふっ」


戦闘にはあらゆる条件がある。


魔法の威力、武器の質、魔力の質と量、自身と他者の技量……様々な分野が、戦闘の勝敗に関わる。


だがそれらのうち、魔法の威力と武器の質は確実にノアが上回っていたのだ。


この空間は破壊の権能の効力を高めるため、互いに破壊魔法を行使したのもあってここに違いはない。


継承していたのが権能の一部しかないというのはまた違う話だ。そもそも神々は権能の持つ力の半分程をノアに譲渡している。


故にここにも違いは殆どない。


込められた魔力量はリオエスタの方が僅かに多かったようだが、ノアの勝る二つの要素に比べればそれは微々たる差でしかない。


つまり、ここもあまり意味はない。


なら、残されているのは───


「……技量差か」

「ご名答ですわ」


破壊の権能の理解、その扱い方、それら全てがノアには足りていない。


権能の真価すらも見出せていないのに、技量でリオエスタに勝てるわけもなかった。


(圧倒的な技、破壊に対する理解、どれも俺が持ち合わせていないものだ……)


その上で『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を使われてしまえば、ノアの勝機は一気に減る。


(使われる前に、倒し切るしかない……!)


だが、それができるかはまた別問題だ。


そもそもとしてノアは現状、全力の七割程の力しか出せない。


右腕が欠損していることもあるが、何よりも『壊滅の源弾(ヴェル・ゼグナ)』による魂の損傷が大きい。


ある程度再生できたとはいえ、まだ完全ではないのだ。


(こんな状態でここに来たのは失敗だったか……?)


今のノアは全力を出してようやく神と対等とも言える。


故に、その全力を出せない状態での神との戦闘が不利でしかないのは明白だった。


(この空間では破壊の権能が強化され、創造と再生の権能は弱化される。その他の権能には大きな違いはないが、ごく僅かに弱まっている、か……?)


ノアは自身の持つ九つの権能を客観視し、現状を把握しようとする。


(破壊は大幅に強化、終焉は変化なし、未来、追憶、反転、整合は僅かに弱化、創造、再生は大幅に弱化……今までの戦闘で頼ってた力が破壊なのはまだ救いか……)


八神の権能はこんなところだろう。


そして最後、ノアの持つ虚無は───


(虚無は変わらずか……まあそうだよな)


虚無の権能は相変わらずその力を弱めてなどいなかった。


虚無は無であるが故に他の影響を受けない。


存在しないものは世界や空間の法則に縛られることなどないのだ。


そしてそれと同時に、ノアという虚無は存在している。


(存在してないから他の影響を受けず、存在しているからこちらから干渉はできる……やはりとんでもない力だな)


ないのに、ある。


そんな矛盾が具現化された存在こそがノアなのである。


(矛盾ね……)


前世の失った記憶がその言葉に引っかかる。


当時のノアは『矛盾』に関係する何かしらの力を持っていたのかもしれない。


「だが、今は考えている余裕などない」

「もう考え事は済みましたの?」


リオエスタは律儀にノアの思考する時間を待っていたようだ。


「待ってくれてありがとよ。思い出したわけじゃないが、手がかりは掴めそうだ」

「あら、それは良かったですわ。それと、そもそもわたくしは貴方を鍛えるためにこの試練をしていますのよ?ただ蹂躙するというのは全く以て無意味ですわ」

「違いないな」


話を終えた二人はもう一度白雪と右手を構え、破壊の権能を纏わせた。


(破壊への理解……それを今この場で高めることは無謀にも等しい。ならどうやって破壊神と同等のステージに上がるかが問題だ)


ここで強く作用するのは破壊の権能。故にこの場限りでは虚無の権能よりも破壊の権能の方が強くなる。


なら、先の攻防での二人の違いは一体何か。


ノアは白雪に『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を使用し、破壊の斬撃を放てるようにした。


ただそれだけでしかないのだ。


対するリオエスタはどうか。


壊撃(ガルム)』を構築したところまではノアにも理解できる。


だがその威力はノアが同じ魔法を使った場合の軽く数十倍以上はあるだろう。


(一体、何が違えばあれ程の力が……?)


技術面だけでなく、決定的な何かが違う。


そうでなければ下位の魔法で上位の魔法を、しかも界律神装を相手にして押し勝てるはずがない。


きっとどこかしらに魔法の効力を高める行動があるはずなのだ。


(次の攻防では、それを見破る……)


前回と同じ状況を作り出すために、条件は同じでなくてはならない。


故に、ノアは勝てないと解っていながらももう一度『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を白雪に使用した。


「先程の再現、ですか……良いでしょう。付き合って差し上げますわ」


リオエスタは前回同様、鮮血のような魔力で『壊撃(ガルム)』を行使、それを右手に纏わせ、不敵な笑みを浮かべた。


その行動を注視していたノアは一つの違和感に気づく。


(あの魔力……いや、あれは本当に魔力なのか……?)


壊撃(ガルム)』を構築した鮮血のような魔力……確かにあれは魔力ではあるのだが、だとすれば不明瞭な点が多い。


(ただの魔力にしては破壊の概念が宿り過ぎている。いくら破壊の力が増大するこの空間かつ、破壊神の魔力だからといってあれは有り得ない)


鮮血のような魔力は魔力そのものではない。


破壊の魔力を宿した、魔力ではない別のもの。


なら答えは一つ。


鮮血のような魔力なのではなく、破壊の魔力を飽和するまで宿した鮮血そのものなのだ。


それを使用して魔法を構築しているのだから、それは確かに威力は跳ね上がるだろう。


(俺と破壊神の差はこれだけではないだろうが……それさえ解ればある程度は近づける……!)


瞬時にそれを理解したノアは自身の左手首を噛み切った。


「……なるほど」


血と破壊は相性がいい。それはこの空間に来る前のノアでも知っている。


流血槍(ガミア)』程度の少量の血なら空間に生成することもできるが、『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』ともなればそう容易くできるわけでもない。


ノアは左手の力を抜き、白雪をだらりと下げる。


手首から溢れた血は重力に従って白雪の刀身へと流れ、そこに込められた破壊の概念が『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を強化した。


(これを続けていては失血する……血は創造の権能で生成できるといえばできるが、創造の権能で生成した物質はいくら血であろうとも破壊とは相性が悪くなってしまう……破壊の権能に精通すれば、血の生成もできるようになるのだろうか……)


破壊神は創造の権能を使うことができない。


ならばほぼ確実にできるようにはなるのだろう。


ただ、少なくとも今のノアではそこまでの技術はない。


「今はただ、この血だけで戦ってみせる……!」


失血は時間の問題。故にノアに求められるのは短期決戦だ。


だがリオエスタもそう簡単にやられる相手ではない。


むしろ今のノアよりは確実に強い。


しかもリオエスタはノアの試練の相手。ノアを更に強くするためにその力を出し惜しみすることはないだろう。


「……互いに鮮血で強化した破壊魔法……ですが、それだけではまだわたくしには届きませんわ」


挑発するような発言だが、これも全てノアを思ってのこと。


世界を救いたい神々として、ノアには更なる破壊の真髄に辿り着いてもらわなければならないのだ。


「さあ、早く乗り越えてくださいませ……わたくしはまだ、三つの切り札を持っているのですから……!」


右手と白雪、『壊撃(ガルム)』と『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』。


先程と違うのは互いに血で破壊魔法を強化しているということ。


破壊と破壊の再衝突。


それによって起こる衝撃は破壊に絶大な耐性のあるこの空間すら崩壊しかねないレベル。


そして今度は───


「貴方様の血は、純度が高いようですわね……!」


今度は、拮抗。


リオエスタの右手とノアの持つ白雪からはギチギチと嫌な音が鳴り響き、周囲の空間全てに罅が入る。


「ここまでやってまだ拮抗かよッ……!」


それだけ二人には概念の込め方に技量差があるということ。


ノアの権能は虚無だ。


虚無は他の権能と違い、本来は存在してはいけないもの。


八神の権能は世界にとって重要な歯車となるが、虚無だけは完全なる異物だ。


前世の記憶がないというのもあるだろうが、虚無の権能はその概念すら無である。


故に概念の込め方というものが存在しない。


ただそこにいるだけで無となるのだから。


「ぐッ!」

「まだまだ、この程度では終わりませんわ!」


ノアの左手から力が抜けていく。


(このままでは、不味い……)


ノアの左手は手首に傷を負っている状態だ。


この程度の傷なら無視することもできる程度のものであるが、血を利用して魔法を行使している以上、流血を止めるわけにはいかない。


血は有限だ。つまり、今この瞬間すらも失血の危険性があるのだ。


そもそもノアは右腕の消失と魂への二つの魔弾によりかなり血を失っている状態。


そこから更に流血するというのはかなり危険であった。


(意識はまだ保てる……だが、手足に力が……!何か、何かないのか!この状況を覆せる何かが……!)


今世の記憶、前世の僅かな記憶を辿る。


権能、魔力、剣───


「───はぁッ!」


ノアの前世、そこから一つの記憶を引っ張り出す。


その瞬間、ノアの持つ白雪が一瞬だけ血の紅から色を変え、僅かに光った。


「───ッ!」


それに底知れぬ危険性を感じたリオエスタは咄嗟に右手を引き、ノアの腹に蹴りを入れる。


その蹴りには概念は込められておらず、ただの打撃。


それがリオエスタの焦りを物語っていた。


「……何ですの?今の光は」


リオエスタが自身の右手を見やる。


そこにあったのは切り裂かれ、流血した右手。『壊撃(ガルム)』が一方的に斬られていたのだ。


(今のは……まず間違いなく破壊ではないようですわね。破壊の権能なら、わたくしの知っているもののはず。そうでないなら、あれは一体何の権能ですの───?)


リオエスタはその事実に困惑する。


そしてそれはノアもまた同じだった。


(さっきのは……?)


あの光を使ったノアですらその存在をよく解っていなかったのだ。


(あれは、魔法じゃない。魔力は感じなかった……なら、純粋な剣技なのか……?)


全てが未知数。それが先程の謎の光だ。


だが、あれを再度使えればノアにも十分な勝機はある。


狙ってできるかは別問題だが……


「ふぅ……はぁ……」


息を吸って、吐く。


(感覚を研ぎ澄ませ。先程の感覚を思い出して、身体に刻みつけろ。この技術が勝敗に直結すると思え)


何なのかは何も解らない。


だがこれが重要なことだけは解る。


なら後はそれを再現するだけ。


魔法は使わない。魔力は余計なだけだ。


だが、破壊の概念を宿らせた血は未だに白雪に垂らしている。


これがなければリオエスタには届かないどころか弾き返されてしまう。


いくらあの光があろうとも破壊に対抗するためにはそれと同等の力がなければ話にならない。


だからこそ、血は必要だ。


(無駄を排除しろ。感情は要らない。今はただ、己を剣として認識しろ。斬ることだけに集中するんだ)


「───『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』」


リオエスタが更にギアを上げ、ノアのよく使う魔法を使用する。


どちらからともなく二人は瞬時に迫り、『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を纏った右手と破壊の血を宿した白雪が激突する。


そのインパクトの瞬間、ノアの集中は極限にまで達した。


「───断て」


右手と白雪が衝突する。


そして二人の視界に映ったのは先程と全く同じ光。


ノアは再現に成功したのである。


「ッ!」

「これは───!」


そして二人は、互いに大きく弾かれた。


それが意味することは───


「完全なる拮抗、ですわね」

「……みたいだな」


白雪にあの光を宿しても、まだ拮抗までにしかならないという事実にノアは戦慄を覚える。


(この力が何なのかは解らない。無尽剣でも、破壊、終焉、虚無を合成した斬撃でもない。権能を一切使わない、ただの剣技───これは一体、何なんだ……?)


無尽剣は虚無の権能を使用した斬撃。


三つの権能を織り交ぜた斬撃はラフィナを滅ぼし、第二界滅爪を切断したあれだ。


あれらは権能と魔力を使った技なのだが、今の光の斬撃は魔力を一切使用していなかった。


つまり、権能でも魔法でもない、剣技だということ。


「───良いですわ」


見たこともない技に感化でもされたのか、リオエスタは上等だと言わんばかりに破壊の魔力を飽和させるまで血に宿す。


そしてそれを両手に纏い、同時に『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を展開した。


「切り札はなし、かつ近接戦闘のみで戦うのならこの状態がわたくしの全力……貴方様に受けきれますの?」


リオエスタはどこか楽しそうに笑みを浮かべる。


それに対し、ノアは表情一つ変えることなく冷静に返答した。


「───やってやるよ」


今のノアは先程の光による防御しかできない。


攻撃に回るには圧倒的に手が足りないのだ。


それは単純に両手と一刀の違いというわけではなく、ノアの集中力の問題であった。


(とりあえずは『光の剣戟』とでも名付けようか。『光の剣戟』を使うには一度の攻防に全てを集約させなければならない。連続で放つのはかなり難しい。となれば俺が徹するのは防御。攻撃に回れる程相手は弱くない)


むしろ現状ならリオエスタの方が強いはず。


故にノアは『光の剣戟』による完全なる防御に徹することにした。


(攻撃の手段は戦闘中に考えるしかない……)


とはいえ戦闘中は『光の剣戟』に集中していなければならない。集中を切らせば即座に『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』によって消し滅ぼされる。


つまり───


「打つ手なし、か……だが、それでもやるしかない」

「───往きますわよ」


次の瞬間、再度破壊と光が衝突した。


一度目の衝突は先程と変わらない。


ただ両者が弾かれて光と魔法が同時に霧散する。


だが、今回リオエスタは左手にも魔法を使用していた。


右手が弾かれた流れのまま、左手による破壊がノアに迫る。


(もう一度……早くッ!)


体制を崩してしまっていたノアはその左手の攻撃を───


「チィッ!」


その攻撃を躱した。


(無理だ……!『光の剣戟』は連続では使えない……!)


本当なら二撃目も『光の剣戟』によって弾くつもりだった。


だができなかったのだ。


それはただ単純に意識を一撃目に持っていかれていたため。


二撃目に集中する時間がなかったのである。


「もう一度ッ!」


躱した瞬間、リオエスタの右手から三撃目が振り下ろされる。


「はぁッ!」

「───ッ!」


三撃目は『光の剣戟』に成功する。


(これで解った……!この速度の攻防なら『光の剣戟』は二回に一回しか使えない!)


逆にこれ以上速くなれば使える回数は更に減る。


そして当然の如くリオエスタは攻撃の速度を上げてきた。


「これはッ!?」


『光の剣戟』の発動が三回に一回、四回に一回と徐々に減っていく。


そしてそれ以外の攻撃は白雪で受けることすら許されない程の破壊を秘めているため、受けきれない分は全て躱さなくてはならない。


ノアが受けるのに苦戦している間にも、リオエスタの攻撃の速度は際限なく上がっていく。


それはすでに音速を軽く超えており、他者から見れば残像すらも置き去りにする速さだった。


(全部は対応できない。ならば致命傷になり得る攻撃だけを『光の剣戟』で弾くしか───いや、待て、思い出せ。さっきの思考を)


ノアは己の中で引っかかっていたとある部分を記憶から掘り起こす。


それは虚無の権能について。


(俺の虚無は存在していないのに存在しているという矛盾を体現する力だ。この矛盾、きっとどこかで使えるはず……!)


それはそう簡単なことではない。


今この場でリオエスタと打ち合うなら破壊の権能しか有り得ない。となれば使うべきなのは破壊の権能だ。


そしてリオエスタに攻撃を通すなら最も有効なのは『光の剣戟』だろう。


そしてこれらは同時に扱うことが非常に困難。


何故なら破壊の魔力を飽和させて使う破壊の権能と、魔力を無にして使う『光の剣戟』は相性が最悪だからだ。


これらを同時に使用するのは魔力の飽和と魔力を無にするという現象を同時に起こさなければならない。


血を白雪に纏わせる程度のことなら考えることは『光の剣戟』だけでいいが、魔法を使うとなれば話は別。


そういった矛盾を引き起こさなければこの二つを同時に使うなどということは不可能なのだ。


(でも、それも虚無の権能なら───!)


虚無なら矛盾を具現化できるはず。


そう考えたノアはリオエスタから一度大きく距離を取り、白雪を構える。


当然鮮血は流したまま、そこに『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』を纏わせた。


「それでわたくしに太刀打ちできるとでも?」


一度その戦術は失敗している。『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』だけではリオエスタに攻撃は通らない。


だが、今回はそれだけではない。


「───虚無は無と有を同時に存在させる権能。魔力や魔法も、きっとその限りではない」

「───まさかッ!?」


ノアが左手に持っている白雪に、『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』としての破壊の魔力が集う。


そしてそれと同時に白雪に先程から見えていた光が宿った。


「この程度でお前がやられるとは思っていない。だがこれなら一矢報いる程度はできるはずだろう?」


それは魔法と剣技の同時使用。


それも『崩壊神撃(ガル・アヴェナ)』と『光の剣戟』の、だ。


「これは流石に───」

「───去ね」


破壊の紅き魔力は空間で爆ぜ、『光の剣戟』の光はこの神域そのものを切り裂く。


破壊の概念の爆発……その威力は凄まじく、破壊耐性のこの空間ですら一部が消し飛ぶ程。


そして『光の剣戟』もこの世界の一部を切断してみせた。


そんな中、ノアは構えていた白雪を下ろし、不敵に微笑みかけた。


「さあ、まだまだいけるだろう?破壊神」


それは最早一種の挑発に過ぎない。


だがそれはリオエスタにとっては喜ぶべきことなのだ。


「───ようやく、自信を取り戻しましたか」

「お陰様でな」


爆発の中から顔を出したのはリオエスタ。それも殆ど傷を負っていない。


ノアにつられてか、リオエスタもまた不敵な笑みを浮かべる。


「ここまで見せてくれたんですもの。わたくしも本気を出すのが流儀でしょう───」


そこでリオエスタは更なる鮮血を生成し、それをとある形に変形させる。


その形とは───鎌。


鮮血でできた大鎌がリオエスタの手に握られていた。


「───わたくしの切り札の一つ、見せて差し上げましょうか」


蘇りし、剣の極地───

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