1.八神の会議
3章始まります
純白の空間……それは神域。
創造神アスティリアが張った世界そのものを分断する結界の中で、八人の神は集っていた。
「これよりノアに神域試練を課します……ガルヴェイム、理の改変はどうですか?」
アスティリアは整合神ガルヴェイムへ問う。
ノアを蘇らせてから、神々はこの世界の理の一部を改変するという本来なら有り得ないはずのことをやっていた。
ノア達が敗北の危機に陥っていても助けに入れなかったのは一重にそのようなことをしていたから。
グラエムを護ったことに関しては、あれだけの滅びを看過できなかったからである。
「それなりには進んでいるが、やはり貴殿らがいなかれば何とも言えんな。やはり創造と破壊はこの分野において大きい」
「そうですねぇ……未来と追憶の権能はどうも理そのものへの干渉とは相性が良くないですし、反転の僕も何とも……ガルヴェイムは神々の中で最も理への干渉力が高いですが、改変となると創造と破壊は重要でしょうねぇ……」
「やはりそうなりますか……ノアに神域試練を課すことについて、初めはリオエスタからいこうとしているのですが、破壊神がいなければ厳しそうな状況ですか?」
「いいえ、とハーティアは否定します。干渉力は少しばかり下がってしまいますが、理への影響を考えるなら終焉神ヴェレイドでもある程度は代役が務まるでしょう」
滅びるわけではないとはいえ、存在が希薄になれば自我も殆ど持たず、世界に干渉することも不可能になる。
故に理の改変に必要な部分は最初のうちになくすわけにはいかないのだ。
ただ、代役が務まるのなら順番を変える必要もない。
「それなら問題なくわたくしから始めることができそうですわね」
「そうだな……抜けた破壊の分は俺が補っとくから、頼んだぜ、リオ」
「当然ですわ」
神域試練の順序に問題はないようだ。
問題があるとするならば……
「界律神の話は聞いていた。ノアなら可能性はあるが、本当に大丈夫なのか?」
「……」
界律神アスティリア……創造神アスティリアの元となる人格であり、世界創造時に世界を滅茶苦茶にした存在。
今は神々という形で力を分散させたが故にその人格はアスティリアの中で深い眠りについているが、神々の権能を一箇所に纏めようとすれば確実にその人格は目を覚ますだろう。
創造神アスティリアでは界律神アスティリアに打ち勝つことはできない。
なら、そもそもの身体の主導権が別でありながら、神々と同等以上に力を持った存在に頼るしかない。
それこそが、神々が、アスティリアがノアを頼った理由なのだ。
「……絶対に大丈夫とまでは言えません。ですが、間違いなく最善手であるというのは確かです」
「……そうか。なら我らも貴殿のその言葉を信用するとしよう」
ここにいる神々は本来は同一の存在でありながら、数億年も存在が分けられていた。
故にもう同一とは言えず、八つの人格が誕生していた。
感情も記憶も、全員が別々。
同じなのはただ一つ、『世界を救いたい』という願いのみ。
だが、八神を結びつけるにはそれだけで十分。
その想いだけで、アスティリアの言葉を信用できるのだ。
「ありがとうございます。では早速、神域試練のことをノアに通達しましょうか」
「ああ、それなら任せてくれ。霊域核のことで一回『念話』してっからノアも俺のことを知ってるはずだぜ」
「ではヴェレイドに任せましょう。順番はリオエスタ、レイシェル、ハーティア、オルスト、ガルヴェイム、アルゼルス、ヴェレイド……そして私、アスティリアでいきます」
アスティリアが試練の順を全員に説明していく。
それに他の面々は目を合わせ、頷いた。
「ええ、やってやりますわ!」
「ん……任せて」
「最善を尽くします。と、ハーティアは宣言します」
「順当ですねぇ……いいでしょうとも」
「世界のためにも、ノアのためにも、過去を知らねばならぬ」
「世界の安寧のため、我は全力でノアを鍛えよう!」
「最低でも俺達全員よりは強くなってもらわねーと困るんだ。あいつのためにも、何もかも終わらせねーよ」
そうしてアスティリアは全員を見回して、最後に宣言をした。
「始めましょう───神を生み出す儀式、神域試練を!」
神々の試練が、今始まる───
ここから3章開始します。この章は今までと比べると長くなる予定ですので、気長に付き合っていただけますと幸いです。
それと、これは私の問題なのですが、この章は2ブロックか3ブロックに分けて投稿しようと思っています。何卒よろしくお願いします。




