第九話 能力について
次の夜の酒場にて。
「なーにが【学習能力】だよ。小学二年生の算数ドリルかあんた」
「そんな強く言う必要ないじゃん……」
愛娘っちに尻を叩かれる。
「しかしレベルアップか。腐れウンコが腐れウンチに進化かな? そんで、ステータスは?」
「腕力が59から75。脚力70から75。その他は変動なーし」
「【学習能力】はどんな能力?」
「学ぶ能力」
「また叩くよ」
「ヒィ~」
いわく、「行動を学習し適切な動作をパターンごとに記憶する」というスキルらしい。例えばボールが跳ねたとすれば「①ボールを取る」「②ボールを蹴る」「③ボールを叩く」「④無視」という様な、予測立てた行動デッキの構築をすることができるようになる。そんなもん誰も彼も勝手にやってるようなモンだと思うけれど、例えば反応できない速度でそれが来た場合、学習さえしておけば、それは無尽蔵に飛び交う弾丸でさえ、適切に当然のように動ける様になる。拡大解釈的な使用も可能らしく、例えば「弾丸が肌に触れる瞬間だけウンコになったらそれこそが正解だ」というフウに強く思い込むだけでそれを叶える事ができるらしい。俺だったら超スピードでぶつかってくるウンコ避けたいから「避ける」も追加されるかも。ちなみに俺はこれを多用しようと思います。
「とりあえず強い能力だよ」
「ずるい」
「これが許されないなら俺もう死にたいよ」