表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/78

第七十一話 彼について

 ◆



 ナタナエルやトマスさんがツテや能力を使って、虚神兵団の対処法を調べてくれている間に、僕はロジオさんに戦い方を教わった。あらゆる生物の急所や、攻撃のデッキの数を増やした。あらゆる状況に対応できるように、身体を鍛える様に。

 僕はロジオさんの教えるすべてを吸収した。

 できないことはできることの延長で補う。

 例えば僕はロジオさんの様な咄嗟の判断力に欠ける。

 それは無論、【学習能力】第一段階のオート対応に任せる。


「俺の第一段階は恐ろしかったぜ」


 ロジオさんは良く自慢した。いわく、望みそれが正しいと思ってさえいれば、それが事象として現れたのだそうだ。

 ではそれを虚神兵団に使えばいいのではないか。

 そうもいかないらしく、僕の気付きに首を横に振る。


「身体が衰えてきたんだ。あらゆることができなくなってきた。いちばん最初にできなくなったのがそれだ。どんだけ思い込んでも、弾丸は突き刺さるし、俺に攻撃した人間がひしゃげて吹き飛ぶことはない」

「なんでロジオさんだけ……」

「まぁ、それはわかってるよ」

「えっ」


 彼は意外なことを言った。


「俺はやりすぎた。なにもかもを」

「やりすぎたって、なにを」

「いちばん大きいのは……前も言ったと思うけど、俺は食っちゃいけないものを食ってしまったんだなあ。地獄に落とされる様なものだ」

「それって、いったい」


 ロジオさんはしばらく口を閉じてから。


「幼馴染の肉を食った。いまでも覚えてる。全部食えと言われた。骨と皮と髪以外。それ以外の内臓も腹の中の糞も、腹の中の………………まぁ、全部食わされた。だから……」

「命に嫌われている、と? でも、なんでそんな……」

「父が、そうしろと言ったんだ」


 この人の父親は、ロンギヌスに操られていた。

 そのせいで、残虐非道なことをした。

 でも、したという事実には代わりはない。


「いちばん悪いのはロンギヌスだ。あいつはこの世界をめちゃくちゃにしたんだ。よくわからない思想の為にね……敵を見誤るなよ。ジャリィ。わかってくれるな?」

「はい。でも……」


 ロジオさんはふざけているように見えて、実はかなり真面目な人間なんだ。

 この前、校長先生にかけあって、別大陸のいろいろな新聞や文書の写しを見せてもらった。17歳から19歳にかけては大変なはしゃぎ様だったらしい。

 どんな新聞紙にも、血みどろの中で笑っている彼の写真が映っていた。

 いろいろな事件の渦中にいたらしい。


 グレムス王国の王女が誘拐された事件。

 1グラム150億円の高価な宝石の争奪戦。

 バーリミン収容所の死刑囚25万人を全員残らず殺したり。


 しかし、ある事件を境に、「ニューゴッド旅団」は方向性を変えた。

 あらゆる新聞では誰一人として笑わない写真ばかり。


 ロジオさんと対談したことのある心理学者はこう語る。


 〝まるで憔悴しきっていて以前の彼の面影はどこにもない。

 彼のユーモアはどこにもなく、彼の目には光がない。

 彼の仲間は彼の変化に戸惑いを隠し切れていない。〟


 その事件というのがマツエユウイチ殺人事件。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ