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第六十七話 避難世界のはなし

「イエス・キリストは『ゼペダイの子ヤコブ』『アルファイの子ヤコブ』『ダダイ』『ヤコブの子ユダ』『熱心党のシモン』を連れ、財宝を塔のてっぺんに隠した! その財宝はロジオ・〝ホープ〟・ニューゴッドが奪い、そして塔は壊れた! せっかくスーパーハッピーワールドへのアンテナにしたのに! あいつはどこにいる!」

「知ってても教えね~よイカレ野郎!」


 とっつかみ合う。全身から血がだらだらとあふれて止まない。

 致死量まであと3分。


「ナタナエル! 逃げろ! 逃げてシモンを連れてきて!」

「フルリエイタを……!? でもなんで」

「あいつの持ってるスキルを少し真似したい!」


 脇腹にロンギヌスの蹴りが炸裂し、内臓を破裂させながら、僕は大きく飛んだ。壁にぶつかると、頭を打った。脳にヒビが入った。


「強すぎる……」

「いまさら策を労したところで結果は変わらない! 私はお前を殺せて、そしてお前は私を殺せない」

「でもやるしかない。お前の思惑はなんだか危険そうだ」

「何故立つ? カッコつけている訳でもなかろうに」

「何故って? ここに、俺が立てるからだ! 俺が此処にいて、此処で血を吐き立ち上がる限り、立ち上がれると思える限り、立たなきゃいけないからに決まってんだろ大バカヤロー!」

「呆れた根性だな……なぜだか分かるか。生れついてじゃない。前世からだ。ロジオ・〝ホープ〟・ニューゴッドは聖人の『愛』の心を受け継ぎ、君は『正義』の心を受け継いだ。そのどちらも持つのが聖人たる証明だ」

「否定派にしちゃずいぶんリスペクトしてるらしいや」

「奴の死を間近で見ているからね」


 ロンギヌスは白く汚れた瞳をこちらにむけて来る。


「あの時、あの身体に槍を刺して魂をふたつに分けた」

「なに言ってるんだお前」

「わからなくて構わない。ただ、聞いてくれ」


 ロンギヌスはじいっと口角をあげて、言った。


「これが正しいことなんだ」

「なにが?」

「虚神兵団を用いて一度世界をリセットする! 幸い……避難世界も彼が壊してくれた! スーパーハッピーワールド計画は頼もしいよ」

「避難世界?」

「ああ。ドットという、カクカクした物で構成された世界だ。過去に私の出現を断片的に見たのだろう賢者が世界を作った。しかし劣化か? あるいは世界を頼まされていた召喚獣が神になったからか、性質がかわり、人を殺す世界になった。あれは胃袋だ」


 なんの話だ……。


「私も奴には手を拱いていてね……仕方がないから一度イエス・キリストの魂をひとかけら使い、治癒師をつくり、勇者に同行させ、あの神の討伐を促したが、結果は負け、勇者パーティーは死に、治癒師は醜くあの世界で生きてばかりいる」

「つまり?」

「計画は順調にいってるのさ。ジャリィくん」

「此処でお前が死んだら計画は停止するか?」

「そうだねぇ。すごく困る」

「ああ、そう!」


 シモンが来た。察してくれていたのか、スキルを展開してある。


「ありがとう!! シモン!」


【学習能力】第五段階──スキルの模倣!


「【学習能力】第二段階の『肉体の最適化』プラスゥ~~~~! 【学習能力】第五段階──スキル模倣のォ~~! 【身体強化60倍】ィ~~~~ッッッッ!!」

「それはもうズル(チート)だろォ、ジャリィくゥん!」

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