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第六十六話 ロンギヌス

 ナタナエルの作った弁当に入っていた焼き魚を食べている。好物なのでまぁいいんだけど、たしかロジオさんも魚とかばっかだったよね。覚えてる? なんでかわかんないけど。もしかしたら前世ペンギンなのかも……ってバカバカ! ロジオさんさんの前世はイエス・キリストだろ! っつか聖人を転生させたのなんか怖いよなーって思うわけ。僕にはその魂の半分が入ってる訳だけど。


「うーん諸行無常……」

「…………シルクゴッド……」

「なに?」

「助けてくれてありがとう」

「どういたしまして。もう気にしなくてもいいのに」

「恩返しのかけらもしてないでしょ。行動全否定したんだぜ? 僕ぁ」

「でも、有りがたかった。おかしくなってたんだと思う。殺せる訳もないのに、怒りで周りが見えなかった。……あの日、命日だったんだ。兄さんの」

「ほーーーん……」


 飲み込みづらくなるからそういう話やめてほしいっす。

 あとでいくらでも聞くから。


「父が言ったんだ。『マヌケを弔う暇はない』って。父の命令で戦場に行って、父の命令で死んだのに」

「…………」

「だから、嫌いだったんだ。嫌いでも、憎いのに、強いってだけで、私はあの男に逆らえない。逆らおうとすれば、途端にぼこぼこにされた。あの日も……。ねえ、シルクゴッド。あの人の全てを否定してくれて、ありがとう」

「うーーーん。言いたいことは死ぬほどあるけど……言わないでおくよ。なんでだと思う?」

「わからない……」

「そっかー……まぁいいや! 元気に行こうぜ! 心リフレッシュ! そしてフレッシュ! なんつってね」


 と言って笑った。沈黙が続いた。普通に滑った。

 と、そこに……。男がやってきた。両目を閉じている。


「すまない君達。此処にいるロジオ・〝ホープ〟・ニューゴッドという人がいるとか」

「先生に何の用っすか」

「君にも関係のある話だからなあ」

「僕にもですか」

「私の名前はロンギヌスだ」


 チカチカと瞬くと。手の平から光の槍が現れ、僕を貫いた。

 いいや、貫かせた。

 回避はできない。なら受けて最短で最大のダメージを狙えばいい。


「変身……」

「それだ! 【学習能力】の第四段階……!」


 顎を揺さぶるとロンギヌスは揺れながらみぞおちに蹴りを入れてきた。


「ごめんね、スーパーハッピーワールドのためだ。スーパーハッピーワールドが私たちをね、天使にしてくれるんだ。聖人はイエス・キリストだけにとどまらない! そのために君達キリストの魂を捧げるんだ。スーパーハッピーワールドに」

「スーパーハッピーワールドだァ!? 光光会ってなァ、ネーミングセンスのかけらもないのか!?」

「光光会じゃないよ。ジャリィ」

「気安く呼ぶな……!」


『ナタナエルちゃんが危ないよ! ジャリィ!』


 幽霊クロノが叫ぶ。


「ナタナエル! 逃げろ」

「ナタナエル? ナタナエルかあ。誰だったかな。まぁいいか。ジャリィくん。君の命はさあ、君のためにあるんじゃないんだ。わがままを言わないで欲しいんだけれど……」

「わがままはそっちじゃないか?」

「私はスーパーハッピーワールドに行かなくちゃ……」

「うるせぇ~!」


【学習能力】第五段階! スキルの模倣!


「光の槍……!」

「無駄だ」


 光が手の平に集まり、槍の形になる前に霧散した。


「君たちは槍に嫌われているからね」

「ナメやがって……」

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