第六十四話 うーん
機械みたいな顔をやめてくれ。喜怒哀楽を顔に出してくれ。
喜怒哀楽を口に出してくれ。本当に頼むから。
僕が目の前に現れて嫌なのか、嬉しいのかどちらでもないのか、それを態度に出してくれ。わからないのは怖いんだ。本当に怖いんだ。
両親のあの顔を思い出すんだ。
焼印を入れるときの、あの機械のような張り付いた顔を思い出すんだ。まるで僕が馬鹿みたいだっていうんなら、それを口に出してくれ。
言葉にすれば僕は二度と君の前に現れないし、口だってきかない。
君がそれを望むのなら、僕はそれでも構わない。
でも、わからないのは嫌なんだ。
どういう感情で僕と接しているのかわからないのは、もう嫌なんだ。
どうして言葉があるのにわざわざ察してやらないといけないんだ。本当にわからないんだ。最低限のコミュニケーションをとるのも嫌なら。
もう、死んでしまってくれないか。
「……あっ、おーいナタナエルさん! やっと見つけた」
ナタナエルに事情を話す。
「というわけで、手を貸して欲しいんだけど」
「構わないよ。君の頼みなら」
裏の勘定に僕はどう作用しているんだろう。感情がわからないからなあ。
勘定の感情ってか。
「ありがとう」
「どういたしまして」




