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第六十話 手帳

 ユダさんを連れて来ると、ロジオさんは血みどろの光光会の会員たちの上で十字架を掲げていた。まるで何か神聖な人間のようだ。


「ロジオ……ロジィ!」

「……ああ、ユダ。来たか。蘇生できるか?」


 ユダ・H・ジョーヌ。彼女は頷くと、両手を掲げる。すると金色の光があたりを照らした。【治癒】のスキルだろうが、これはきっと【神聖治癒】…! そして見たことのない段階だ! 


 おおよそのスキルの段階限界は第五段階だ。

 総称【学習能力】のような特筆するような要素のあるスキルではないにしろ、【神聖治癒】は神の力の一旦を得たものだ。


「凄い力だ……」

「そうだろ。ロジィも驚くレベルだよ」


 ユダさんは笑ってから、完全に蘇生を終えた。

 その矢先にロジオさんが手帳をこちらに投げてきた。


「おかしな記述がある。ロジオ先生から問題だ。そのおかしな記述を見つけてみろ」

「急だな」


 手帳を読み込んでみる。2分を過ぎたところからロジオさんが「チクタクチクタク」と言いはじめて鬱陶しい。


 手が止まる。ロジオさんが鬱陶しいから、というだけじゃない。

 手帳に書いてある記述が、まったくもって意味不明だから。


 イエス・キリストの魂が「最終兵器」の召喚に必要だった。

 しかし、イエス・キリストがひとりの状態では扱いきれない。

 だからふたつに分割する。目印としての〝ホープ〟を運命付ける。

 魂の神秘性が損なわれなければいい。

 信者のふたりに命令を授けた。

 処刑日に合わせて用意した女を妊娠させる……!?

 生み出す命は……。


「ロジオル・H・イエス・ハシブラと……」


 僕の旧姓は……僕の旧姓は……。


「ジャリィ・オード・H・キリスト」


 生み出した命の半生はどうでもいい。

 両者が17歳を超えた日に、計画は進み完成する。

 記録者の名はロンギヌス。


「ロンギヌス」

「正解だ。最終兵器の名は『虚神兵団(きょじんへいだん)』……! 世界に暗影をもたらす悪神の軍勢……!」

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