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第四十二話 悲しいなあ

 十字架が飛び、十字架がそれを防ぎ、その陰から拳が飛べば、どちらかにぶつかる。蹴りが繰り出されれば、それを小気味に跳んで避けて顔面に蹴り。どちらかが吹き飛ぶ。お互いたったひとつのユニークスキルと謎の十字架しか手札が無い状態。決めるのは暴力。結局のところ、拳を握って、地面を力強く踏ん張れる奴の方が強いという、簡単な決着の付け方。


 しかし、簡単だからといって、それが直ぐに決着が付くという訳ではない。両者にも体力やその他諸々「ステータスの差」がある。ブラシムはレベル4。腕力や脚力は恐らく200台に突入している。対するニューゴッドはレベル3。前に聞いたときはまだ器用以外は80台から逸脱していない。単純な力比べではニューゴッドが圧倒的に不利になる。しかし、彼にはどうにも不思議な力があるのか、不屈。いくら吹き飛ばされようと立ち上がり、何度でも拳をにぎりしめる。実直に、愚直に。


 ブラシムが笑った。


「パターンを見分けることが出来た! 学習済みだ! もうお前に勝ち目は無いで!」


 一際強く弾かれる。処刑台の脚に当たると、処刑台は崩壊し、パカパカと落ちていくと、木造の小屋になった。


「何の真似だ」

「こうなった方が面白いだろ」


 パァン! とはじける音。


 ブラシムの右足から血があふれた。


「は? ……は?」

「さっき『パターンを見分けることが出来た』って言ったな。だがそれは哀れにも此方の思惑通りだったんだよね」


 ドアを蹴破って、ニューゴッドが拳銃を持ってあらわれた。


「そうかそうか。お前は俺がお前ごときに銃を使う訳が無いとでも思い込んでしまう可哀相な脳味噌なんだね」

「卑怯者……」

「俺がお前相手に素直に相手するわけ無いんだよね」

「死闘が全て……茶番に!」

「だからなんだ? あのさ、物語って主人公がいて仲間がいて、敵がいるだろ? それがセオリーだよな。んで、もうひとつセオリーがあるよな。そうだね、敵のボスだね。敵のボスと最終決戦って燃えるよな~」

「何の話やワレェ!」

「お前にはボスになれるほどの格がさ、ないんだよ。だからこの話はこういう決着で終わりって訳」


 左足を撃ち抜く。ブラシムが倒れると、ニューゴッドは銃を懐にしまって、処刑人にアイコンタクトを送る。途端に取り押さえられ、何処かに連れ去られてしまった。


「こういう形で……おしまいですね」

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