第三十九話 そういう話?
説明すると、マシューが面倒そうな顔をして、ため息をついた。
「ぶっちゃけあんたより会話が出来ない人間ってそれもうアレじゃないの? ヤクとかそういう、なんていうのかな、あの、あれ。ヤクみたいな、ハーブっつーか、あんまり口に出すべきではない感じの……あれ」
「言い換えることすらダメそうな感じの?」
「それね。それってこと?」
「多分それじゃないけど……単純にキショい。胸がざわつくんだよね」
なんかアンデレっちは困惑してる。俺の短気さに困ってるのかそれともブラシムのあれっぽさに困惑してるのか。どっちだろう? どっちもだろうなぁ。謝っとこう。
「ごめんね、俺あんま我慢とか出来ない感じで。頭パッパラパーなんだ。ほんとごめん。なんか俺とあの人性格が合わないらしくて、ストレス溜まっちゃって」
「あ、いえ……こちらこそ……私があの人を追いかけてきたの、あの人のああいう、すぐに怒っちゃう性質っていうのもあって……」
「ほんとゴメ~ン……あとでお店でマシュー……あのアイツとあそこにいるオッサンに飲ませっから」
「いえいえ! お気になさらず。……あの、えっと」
「なんすか?」
「もし、あの人が警察に突き出されるなんて事があったら……すごい、説明不足で申し訳ないんですけど、貴方の船に私も乗せてもらう事って出来ますか?」
「え! いいっすけど。でもまたなんで? 前は断ったのに」
「私、〝シャグ一族〟について調べてるんです。それにきっと、あの人が死んだら支配人、活動をはじめてキャバレー所じゃなくなると思うから」
「怖い世の中っすね~。っつか、シャグって?」
聞いたことないなあ。マイナーな感じのあれなんだろうか。
「シャグ一族は、この世界で初めて言語を使った一族です。知ってますか? シャグズ語。距離の単位のセンチとかメートルとかを最初に使った人たちです」
「あー……シャグズ語。学校で教わりました。豆知識的な感じにっすけど。シャグ一族が考えた奴なんすね。そういやシャグズ語っすもんね。いや、でもいいんすか? あの人を警察に突き出す事を看過しちゃう感じになってるっすよ」
「いいんです。あの人、たまたま仕事でムライクラに立ち寄っていた父も殺した。あの人が詰め寄る母になんて言ったか分かりますか」
「これは革命の為なので泣かないほうが良いですよ、的な?」
「なんでわかるんですか?」
「さあ……ん? じゃあちょっと待てよ……?」
「どうかしましたか?」
「アイツ悪人ってことは……」
俺はマシューと口論をしているブラシムの頭を掴んでテーブルにたたき付けて、首のところを踏み付けた。
「持ってくぞ、警察に」
「急になんだ?」
「こいつが死んでも俺に罪悪感が無いことがわかったから殺す。俺はそもそも……革命を軽々しく背負い込むこういう男が嫌いだ。あとそれに……こいつのギターが泣いてるんだ。ギター泣かす奴は死ねっ!」
「結局あんたとこいつが同類だってことがわかったけど、大丈夫そ?」
「まぁそうかもね。でも俺マジでこいつ嫌いなんだ。人の命をなんだと思ってるんだってさ~。思わん?」
「…………もしかして今めちゃくちゃキレてる?」
「どうだろ? わかんね。俺がキレてるかどうかはみんなが勝手に決めれば良いと思うんだ。違う? テルックだってそう言ってるよ」
でもこの国も心配だなー。結局こいつに助けられてたってのに変わりは無いから。どうにかしたいなーって思うわけ。こいつが死んだら本格的にやべーんじゃねーのって感じ。
「んー。じゃあまぁ、どうすっかな」




