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第三十六話 にくいね

 そこに支配人がやってくる。


「先ほどはうちの馬鹿共が申し訳ないことをした」

「埋め合わせ程度に〝蛇息〟のブラシムについて教えてくれん?」

「それは……」

「できない?」

「すまない」

「謝らんくてええよ! あんたが『何か知ってる』って事がわかればいいの。それってつまり、『ここに〝蛇息〟のブラシムがいた』って事の証明だからね。此処が無理なら他を当たるだけだよ」

「おそらく、余所も私と同じ反応をするはずだ」

「何故?」


 言いたい様にしている。なにかひと押しが必要かなあ。しかし、手札に「これだ!」って物がないからなあ。順番間違えたかな。キャバレーへの憧れから一番最初にキャバレー行こうって決めたのが悪かったな。反省。俺はもう反省したから外野がごちゃごちゃ吐かすなカス。


「多分、君になら話しても大丈夫なのだろうな……」

「まじ?」

「我々は彼に恩がある」

「マジ? 〝蛇息〟のブラシムって国家転覆犯だぜ? そりゃま、戦争とかしてたってなるんなら救世主かもしれないけれど、同盟国って話だろ? なんで恩なんてあるの?」

「彼は我々の為にムライクラ王国と戦ってくれたのです。……昔から、確かに、ムライクラ王国はカンラー王国とは同盟国でした。しかし、ムライクラ王国は関係無しに搾取をしてくる。物資・金銭まで。カンラー王国は立場が弱い。かつて三度助けられているからです。頭を上げられるような相手ではない。我々はそのツケを払わされていたのです。国民は毎月40万チェガとそこに稼ぎの三割を持っていかれる」

「よくわかんねーけど、うんこすぎって思うぜ」

「彼はそんな状況を打破してくれると約束してくれたのです」


 でもこのタイミングで国家転覆は馬鹿じゃねぇ?


「結果『弱い国』がひとつ残ったと」

「…………」

「でもいいこと聞けた! ありがと支配人!」


 キャバレーを離れる。

 うーむ俺達の目的を変えるつもりはないが……しかし、救世主の一面もあるのかぁ。とするのなら信者とかいるだろうなあ。最悪この国の住民の敵になっちまうのかなぁ、俺。マシューとかトマスとかユダとかは「捕虜」って事にしてなんとか逃がすか。最悪「洗脳してた」って事にすればあいつらが何いっても「洗脳されてた」からそういう言動をするってことで矛先は俺に向くだろうしね。


「サツに突き出しにくくなっちまったなぁ」


 そこに、ユダとトマスがやってきた。親娘に見える。


「二人とも~! なんかわかった?」

「〝蛇息〟のブラシムについて話すことは何もないって」

「何か知ってますよあれは……さしずめ秘匿派ですねぇ」

「俺は教えてもらったよ。ここの国民はみんなブラシムに恩があるみたいだった。随分と真摯らしい。みんなあいつらに恩を感じているから何も教えられないって言われた」

「恩ですか……圧政ですかねぇ」

「っすね」


 マシューはどうだろう? と考えながら近所のダイナーに入ってフライドポテトやらパンと肉、野菜やチーズを挟んだ「テルック」という物があり、俺は肉のかわりに魚が挟まったものを食べる。


「ファーストフードうめー」

なんか最近全体的に読まれやすくなったっすよね

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