第三十五話 独特
ここで自分語りしまっす。あんまり喧嘩とかはしたくないんだよな。だってここは客商売だろ? だから喧嘩とかしたらちょっと評判とか落ちちゃうと思うんだよな。それにいまキャバレーとかってあんま見ないでしょ。変なことで潰れてほしくない。店の中でやり合うのやめよーって提案はしたんだけど、店の中から出してくれそうになかった。ひどくね? 俺この店の事を考えたのに。あいつら自己満足だぜ。喧嘩で何か得れる訳ねーのにな。変なレッテル貼られて終わりだよ。わかる? 喧嘩とかするとね「あいつはダメだ」って評価受けんの。そういうのって当たり前のことだろ? だって喧嘩する奴なんだもん。絶対にロクな奴じゃねーよな。マシュー見てみろよ。ロクな奴じゃないだろ? だから全員4秒で潰した。
「蝶の様に舞い馬鹿の様に散る……」
支配人がやってきて、演奏団の連中を奥に連れていった。すると若い女性がおずおずとやってきた。
「あの、お話ってなんでしょう?」
「あまり大きい声で話すのは憚れるなあ……裏で話せない?」
「か、構いませんよ!」
裏口のところで、ようやく話が進む。
「〝蛇息〟のブラシム、ですか?」
「ああ。当時の動向を調べると、此処に数時間滞在していたらしいんだ。3時間だったかな。そんくらい。なんか知らねぇ?」
「いえ、すいません。でも……たしか、支配人が記者に質問をされていたところ、何か慌てて帰らせていたから……」
「なんか知ってる反応だね。わかりやすい。ありがとう。支配人とお話してみようかな」
「いえ、すいません。何も知らなくて」
「別にええて! 俺もまだ足し算わかんねーし」
「なんで……?」
「そんなことどうでもいいじゃん。つか君名前は? 俺はロジオ。ロジオ・〝ホープ〟・ニューゴッド。ニューゴッド船の船長だ」
「船長さん、でしたか! なるほど道理で。私はアンデレ、と言います」
「アンデレかぁ。デレの否定者だ。船乗る?」
「で、デレの否定者とは? い、いえ……ここの仕事がありますから」
「マジ? 冒険出来るのに?」
「は、はい」
アンデレっちは困ったように微笑んだ。
「うーん」
「どうかなさいましたか?」
「いやね、俺の仲間にユダって奴がいるんだけど。そいつが笑うとすっげー胸がドキドキするんす。でもいまあんまドキドキしなかったなーって」
「私あんまり魅力的じゃないから……」
「なに言ってんの。気品のあるレディじゃない!」
「そうですかね。ドゥエヘヘ」
笑い方独特だナ~……。
「ロージロジロジ! 魅力的ロジねェ!」
「ドゥエヘヘ……あなた笑い方独特ですね」
「っすね」




