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第三十四話 しゃらくせェ歌をやめろ

 カンラー王国のとある所にあるキャバレー「シャラック」。そこに入ると、どうにも演奏者が全員ブッチするめちゃくちゃ面白い異常事態が発生しているらしく、若い女性と支配人が右往左往としていて、泣きじゃくっていた。可哀相だなあ、と思いながら背に回していたギターを前に持ってくる。


「酒国の……桜の囲道(なか)ァ~……」


 席の間を歩きながら弾き語り。


「旅もほォらァ~…」


 さて今回歌うのはダガー王国の古い歌。


国歌(くにうた)にィ~……君の胸を思い出すゥ~……」


 支配人が立ち止まって此方を向いて来る。


「夢の狭間に、君の唇に桜重ねェ~」


 歌いはじめもいいところ。ここから盛り上げていくぞ、というところに、演奏団と思われる顔ぶれが拳銃(コルト)を持ってやってきた。


「思い出すゥ~……」

「死ねや支配人!」

「でェ~たらァめェ~な……(きみ)オーロラにィ~……」


【学習能力】第一段階。「撃ち出される弾丸はすべて俺に当たるべきであり、俺に当たる弾丸はすべてが何の影響も及ばさず無様に地面に転がるべきであり、それが正解だ」という暗示。


「ナニッ!? 弾が曲がりやがる!」

「国歌に君の胸を思い出しィ~。夢の狭間に、君の唇を思い重ねェ~」

「てめぇ……そのしゃらくせェ歌をやめろォ!」

「ちょっと。人生って思い通りにいかないもんだね」

「死ね!」


 弾丸がすべて俺に一直線。すべて口の中に入ってくる。


「もごもご」

「なんだそれ!?」

「ぺぺっ!」


 吐き出すとそのまま演奏団たちの足元に突き落ちた。


「なんだソリャ!?」

「これが『正解』だろ?」


 ギターを背に戻して、ひとこと。


「お前らって演奏団だろ?」

「アァ? なんだいきなり」

「真ん中の君は、肺活が凄い。姿勢から見てもトランペット担当。しかしどういう訳かそんなことをしている。右端の君はおそらくバイオリンかな。右手の指についてる癖はバイオリンをやっていないとつかないものだ。肩をあげる動作的にも普段はそのくらいのものを持っているんだろう、という癖が付いている。しかしどういう訳かそんなことをしている。他の人も同じく」

「探偵か? ヨッ、名探偵」

「なんでこんなことをしているの?」

「テメェにゃ関係ねぇだろ」


 ニッコリと。


「そんなことあるか! ここで出会ったのも何かのご縁!」

「関係ねェーんだよォーッ!」


 発砲。


「学ばん瘋癲共やなァ。お嬢さん!」

「は、はいっ!」

「少し聞きたいことがあるから生きててな」

「へぇッ!? へ、へい!」


 一斉に発砲。弾丸は此方に向かっている。愛銃〝青〟と〝魂〟を取って、2発。此方に向かって来る弾丸のすべてを潰して真ん中トランペットっちの横をすり抜けて背後の酒瓶を撃ち抜いた。


「俺ってステータス全部低かったんだよなあ。故に強者に太刀打ち出来る拳銃(コルト)が好きやった。せやから拳銃(コルト)だけは得意なんや。なあお前さんら」

「なんなんだテメェ」

「ロジオ・〝ホープ〟・ニューゴッド。君は?」

「知るか!」


 殴り掛かってきた。


「しゃーないのォ」


【学習能力】第二段階。

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