第三十一話 でっちあげ
バーラ王国山々に囲われたいわゆる盆地にある小さな国。最近では内戦が続いており、入国審査は厳しく、それこそ認可を受けた特定の商会の船しか入れない、というような規制がある。
「どうする? はいれなくね?」
「馬鹿だなあ、お前。マシューあのさあ、お前の家どんなんだっけ?」
「カンナギ商会。認可受けてねーよハゲ」
「ハゲてねーよハム。だからさぁ、シナリオ書こうぜ」
つまり、カンナギ商会の娘が独立して「それなりの成果をあげた」という結果を携えて一度バーラ王国の審査会にお顔を出して、ゆっくり待とうぜってこと。
「幸いこの船もでけーから、『なんちゃって貨物船』にはなるだろ? 水陸両用ってのも考えると、割とマジでそれっぽい。『古い船を買い取って貨物船にしたんかなあ』くらいの想像はしてもらえるかも」
「成果の方は?」
「そんなものでっちあげればいいんですよねぇ。人間がこの世界をどのくらい認識していると思いますか?」
トマスが指を一本立てた。
「たったの一割。この世界──……というより、この星はあまりにも大きい。『海の向こうでは名が上がってた』というでっちあげなんて幾らでも可能です」
「……ニューゴッド。カンナギ商会の娘が独立したのは君と同じタイミングだろ」
「あっ、そっかあ」
「オラァ! ガバが発生したぞ腐れウンコ!」
「うるせぇ! そこはてめぇ、臨機応変って奴だ! 例えばそうだなぁ……」
「おう臨機応変してみろや」
なんやねんこいつ。
「死ね。そうだ『独立』を『異国の商会でイチから下積み』みたいにすればいいんじゃないか? そうだそうしよう。創業20年。社長はジャック・ドレフリッド。会長は……ニコレイ・ドレフリッド。ドレフリッド商会だ。たまたま出会った所で入社。食料を多く持ってきました~みたいな」
「ちょっと怪しくね?」
「いまから新聞記事作るぞ。近くにスタジオないかな役者を揃えよう。40代の男性、髭あり。移り混んだ記者用に数名雇いたいな」
「そんな金あるか?」
「そのための5000万だな、へへ」




