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第二十一話 昔話の登場人物

 マウント合戦なんてくだらないことしてる暇があるんなら真面目に捜索したら? 頭の悪さが上限突破~! みたいなフウに言われたらマジ悔しいんだけど、言い訳みたいなことを言うと、なんとなーく全員が全員の能力を把握しただけ。その切っ掛けにマウント合戦を使っただけ。わかる? みんなこんなイカレた世界のど真ん中で本気でマウント合戦とかするわけないじゃん。知力25でもあるまいし。


「うーん、何かねーかな……さすがに無理難題だと思うんだよなあ」

「少年が描いた物語に何かヒントがあるかもしれない」

「『主人公は6歳の少年。少年は海に憧れている。しかし海を見るには森を超えるしかない。毎日木の奥へ奥へと向かっていく。』……だっけ?」

「安直だけど『林檎の木の森』を探してみるか。トマスっち、ここらに林檎の木とかある?」

「うー…………む。ありますねぇ、ありますあります。ここから南西の方角に」


 じゃあそこへいこう、と決めてから出発しようとすると、家の前に男が立っている。カクカクしていないからこの世界の外から来たことはわかりきっていた。しかし、なにやら様子がおかしい。


「あいつ悪人か?」

「はい」

「だろうな……」


 手には刀を持っている。刀はドットで出来た血が付いている。


「お前、新しいイケニエか?」

「イケニエェ?」

「この世界に入り込んで来た奴はじっくりと消化されるんだ……ここは、神の胃袋。この世界に『馴染む』と食われはじめているサイン……よこしまな神に栄養をくれてやるくらいなら……くれてやるくらいなら俺が殺してやるよォーッ!」

「マシュー!」


 男はマシューを襲った。おそらくこの中で一番の細身で女だから弱いと見たのだろう、と思う。マシューは手の平を男に突き出す。次の瞬間、【水の壁(ウォーターバレット)】が炸裂した。


「ッシャァーッ! 【治癒(ヒール)】ッ!」

「なにっ!」

「この俺が【治癒(ヒール)】を使えないとでも思っていたのか!? 俺の【治癒(ヒール)】は勇者を治した! 聖女もだ! 賢者だって敵わないと白旗をかかげた! 全員助けられるスキルの筈だったんだよォーッ!」

「お前、何言ってんだ……?」


 勇者? 聖女? 賢者?


「昔話の登場人物だろ……?」

「やめろォーッ!! 殺すぞ!」

「ニューゴッドくん!」


 男が泣き叫びながら襲いかかってくる。


「何となく察したよ」


 ユニークシリーズ【学習能力】の擬似発動。両手首に、貫くようなエネルギーの集合体が現れた。


「丸っこい雲を見せてやる」

「うあああ!」


 弾、はじき。


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