第十九話 ガキとズル
んで、突っ走るマシューの後を追っているとこの世界の事がだんだんとわかるようになってきた。
「この世界にもモンスターっているんすね」
「基本はもといた世界の焼き直しみたいなもんなのかもしれませんねぇ」
モンスターを殴り殺していく。俺レベルアップして「1」から「2」になったんすよ。覚えてる? だからこういうモンスターとの戦闘してると「雑魚」っすねェ~って思うわけ。わかる? 俺って実は強者なのかもしんねぇ。
「ニューゴッドくん、22口径の弾あります?」
「ありますあります。使う?」
「ありがとうございます」
俺の愛銃は革命軍時代に仲良くなったガンスミスから貰ったブルーマリア鉱石を使った超硬度合金製の回転式拳銃。名付けて〝青〟に、奴隷時代に奪った「国鉱ヨセフ」で造った赤い回転式拳銃の〝魂〟……かっけーでしょ。
「腐れウンコ!」
「どうしたの~?」
「人里発見した」
「マジ? 人いそう?」
「廃村って感じだなあ」
どういう世界なんだか。
「とりあえず突っ走っれるだけ突っ走ってみるか。人いそうだったらみーんな引っくるめてぜ~んぶ儲けるぞ」
「気持ち悪いけど、気持ちのいい男だよ、あんた」
「『気持ち悪い』って言葉いるか? まったく……ん?」
じゃれあっていると、トマスの顔つきが変わった。
「どーかした?」
「人がいますねぇ……」
「マジ? 村の奴らかもしれない! 何処!? 迎えに行こう!」
「あの赤い屋根の家の中です。用心して。悪人かもしれない」
〝青〟を構えながら、その家に近づいてみる。何かにぶつかるような物音があった。確かに人がいるらしい。トマスのユニークスキル……【観察能力】の精度ってスゲーよな。あんな離れたところから屋内に人がいる事すら「見た」だけで分かっちまう。デメリットはあるんだろうけれど。俺の【学習能力】も凄いっすよ。拡大解釈で無限に強くなれる。算数ドリルでも国語ドリルでもないっすよ。これ大事。根に持ってるみたいに思われたら、ごめんだけど全然そんなことない。根に持った事とかない。俺実家(すいません、俺とは無関係の一家の事っす。世界貴族ハシブラと平民ニューゴッドじゃまるまる違いますからね)の事とか許してるし。思えば世界貴族に「レベルの上がらない雑魚」がいたら威厳にも関わってくるから切るのとか普通やし、そういうこと考えても嫌悪感とかはまだ普通の反応だし。キレてねーし。世界貴族とか悪人しかいないくせに威厳も糞もねーだろハゲとか思ってないっす。なんであんま勘違いしないでください。頼むよ~。
「国境の長いトンネルを抜けるとそこは──」
扉を蹴破る。
「──ウンコブリブリスーパー雪国だった」
「ヒィーッ! 意味不明!」
あれ、カクカクしてないガキおる。
「お前、ハルクス村のガキか? 村の奴ら心配してたぜ~。帰らん?」
「ハルクス村……? あなた、じゃあ外から来たの!? なんでわざわざ……。じっ、事情知ってそうなのになんでわざわざこんな世界に入ってきたの!?」
「村人な、悲しそうな顔してた。別に俺らはお前のこと助けなくてもいいし、助けようとも思ってなかったぜ?」
「意味がわかりません……殺さないで……」
「殺しはしねーよ! 一緒に手を取り合ってこの世界から脱出しようぜ!」
マシューも意味わからんけど微笑んでる。
「聖母のつもりか? お歳暮女」
「は? 誰がハンペンか」
お歳暮にハンペン送る文化あるのかな……。
ハムのつもりで言ったのに……。
「なんで、助けてくれるんですか」
「もう言わんぞ。さっきも言ったから。ほらついて来い」
仲間を手に入れた。
「ニューゴッドくん」
奥の扉を指差している。
「おいおいお前! まだいんのか! 言ってくれないとわからないぜ!?」
扉を押し開けると、そこには動く人型の肉塊が。
「えっ、なにこれは」
「ここに一番最初に来た人です……ぼ、僕を匿ってくれてたんだ。でも、ここに長居すると、身体が、無理矢理この世界に馴染むとかで、四角くなっちゃうんだよーっ!」
マジか。
「マジか……ほな最速で助けんといかんな」
眉間に弾撃ち込んで、殺した。
「『俺が殺した人間は元に戻った上で元の世界に戻るのが正解だ』と思うんだ」
「意味わからんズルするなよ……ドットワールドさんびっくりしちゃうだろ。……アッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ! おいッッッッッッ! 私を撃てや腐れウンコッッッッッッッッッ!」
「お前らにはまだやってもらう事あるからダーメ。メインの戦闘力が必要だし、【観察能力】の手も借りたい」
「しょーがないなー! でも終わったら絶対だぞ!」
「分かってるよ。トマスもそれでいい?」
「拒否権がないうちは構いませんよ」
拒否権があるなら拒否するらしい。にくいねーッ!
うんちぶりっ!
「じゃあ行こうか!」




