第十八話 最初の秘宝ドットワールド
そこはハルクス村という小さな村だった。辺りに街はなく、木々に囲まれている。
「秘宝くれ!」
そう言って乗り込むと、村人達はどんよりとした顔をしている。
「どうしたの?」
「……それが……」
聞くところによると、「村の若いものが秘宝によって姿を消している」のだという。どういうことか、と尋ねると、簡単に言うとこうだ。
「──人を異世界に送る秘宝?」
「はい。最初は村の子供が書いた絵物語でした。『木々の奥にある大海原を見よう』という物語で、林檎の木が生い茂る森の前に、主人公が立つのです」
意味わからんから実物を見せてもらった。それは小さな本に描かれた物語。主人公は6歳の少年。少年は海に憧れている。しかし海を見るには森を超えるしかない。毎日木の奥へ奥へと向かっていく。
「なかなか感動する話ですねぇ」
「少年の夢を諦めない姿勢にはリスペクトする」
「最後のページ行くぞ」
と、そこに村人が叫ぶ。
「やめてください」
村人は顔を真っ青にしている。
「最後のページで、異世界に送られるんだね」
「……行ってはいけない。誰も帰ってこない」
「俺達が消えたところであんたらに損失はない」
「しかし、あなた方にも人生がある」
「秘宝を手に入れなければならない。秘宝はおそらくこれだ。あるいはこの中にある。どちらだろう? それを知るためにも、この中に入らなければいけない」
嘘。知ってる。秘宝はこれだ。詳細に言えば、このインクだ。
「ついでに消えた奴ら助けて来るよ」
最後のページを、めくった。すると光が溢れ出して、気がつくと荒っぽい世界にいた。草木をよく見れば四角。四角が連なって出来た物質の世界。
「ドットワールド……」
トマスが言った。
よく見ると、【観察能力】を使っているらしかった。
「ドットワールド? ワールドが『世界』ってのはわかるけど、『ドット』ってなに?」
「さあ……」
「あっ、なんか落ちてんぞ」
四角で出来た四角。「紙きれ」って解釈していいんだろうか?
「えーなになに? 『ここはドットで出来たドットワールド。ゲームをクリアして海の秘宝〝ブルーインク〟を手に入れよう!』っだって?」
「ドットで出来た……この四角がドットか?」
「ともかく、〝ブルーインク〟だよ……秘宝はあるらしい! 行くぞ腐れウンコ!」
「いい加減やめてやそのあだ名」
とりあえず行こう、という事に。
「悪いっすね~。トマス。あんたの人探し後回しになっちまう」
「ははは。いえいえ、元々『見つけられたらラッキー』くらいの人間でしたので、構わないですよ」
「急いでんじゃないの? わざわざ船買おうとしてたところ見ると」
「まぁそうですねぇ……」
ドットで出来た草を縦横無尽に蹴散らすマシューを見ながら、楽しくお話。
「探し出しても……殺すだけやから」
ドットって「小さい点」「水玉模様」みたいな意味らしいっすね




