第十三話 眼帯野郎
しばらくすると、若輩数人に取り押さえられて大男が到着した。レスバけしかけようとしてたからびっくりした。俺この人に勝てねーから。そりゃもうワンパンっすよ。顎に入れられるかケツに腕ズボよ。最悪死ぬね。うーん。言いたいこと言うかな。やっぱレスバしてーし。
「あんたバカっすよね。ボスっち」
「……なんだガキ。テメェ、見ねェ顔だな」
「そりゃそうでしょ。初対面なんすから」
「部外者がいま、なんつった?」
「あんた馬鹿だなって」
胸倉を捕まれる。首を痛めた。
「口の利き方には気ィつけろよ。それともテメェか?」
「なにが?」
「俺の大事な部下を殺したのはよォ」
「口の利き方に気をつけるべきなのはあんただ。ボスっち。あんたは馬鹿だ」
「殺すぞガキ!」
「その資格があんたにあるならやればいいさ! ないだろ!? えぇ!? ある訳がねぇーよハゲ! テメェは部下一人ぶっ殺されてよォ!? じゃあそれで終いですか!? 違いますよねェ!? ここにいる全員! 『ボブが死んでる』んすわ! わかるか!? この意味! このボケ蝿女は『知り合いが殺された』し、俺以外の他全員は『同期・後輩・先輩・親友が殺された』って状況だ、みーんな混乱してる! そん時テメェどこにいた!? バッカじゃねェーの? いま一番ここにいるべき人間がガキみてェによォ!? 考える頭ないんやったら死ねやアホ!」
豆知識披露したる。俺は浅慮が嫌い。致命傷になる浅慮がね。かといって「じゃあお前先日の花火デリバリーは浅慮やないんか」言われたらヘエヘエ困りますわ。つまり同属嫌悪っちゅー奴ですね。死ね。
「テメェの立場もわからんのやったら後継者立てとけや。言い返してみィや。ほれ。殴ってもええで。それでお前さんの気が晴れて、みんなスッキリするんやったら殴りゃええ。でも俺はそうなるとは思えんのや」
深呼吸。
「お前はここのボスで、こいつらお前の部下。『ボブが殺された』のはお前だけじゃない。ひとりで突っ走って、その間にまたどっかテメェの目のないところで死んだら? お前は後悔するし、ここにいる奴らはその倍後悔するし恐怖する。弁えた方がいいんでないの?」
しばしの沈黙。それを破ったのは右目を眼帯で隠した初老の男。
「失礼。ニューゴッドくんのお声をここでひとつきり訂正」
「なんやワレ」
「数時間前に船を買いに来てね。一通り騒ぎを見ましたよ」
「せやったら訂正も何もあらへんやろ」
「訂正はあるよ。一人。といっても、私と君意外の一人。感情の動きのひとつもない男がいますねぇ……」
眼帯野郎がついていた杖の先をある男に向ける。
その男というのが、先ほど「キ!?」とびっくりしていた男。
「彼がどないしてん」
「……ユニークスキル【観察能力】……【見る能力】でしてねえ。当たり前に人の心拍の動きや感情の流れを見てしまう事が出来る」
俺と同じ傾倒のユニークシリーズのスキルだ。はえー。
「じゃあそいつが殺したんだね」
「そのようですねぇ」
「ニューゴッドくん!? 信じるのか!? そんな男の話を!? そいつかもしれない! 殺したのはそいつかもしれない! ユニークスキル!? ハァ!? そんなんいきなり語られても困るわ! 絶対嘘だぜ!?」
「〝ユニークシリーズのスキルはいかなる『騙り』も赦されない。持たざるそれを騙ることは理によって赦されない。持ってるそれを持たないと騙る事もまた然り〟……ちなみに俺もね」
「あ! 【学習能力】ってユニークスキルなの!?」
「っすよー。信じられんのやったら見るか? 俺のステータス」
ロジオ・〝ホープ〟・ニューゴッド 17歳
誕生日 12月25日
イメージソング My Red Hot Car




