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第十話 秘宝典

 時計の針がてっぺんに差し掛かったあたりで、思い出す。


「そういえば行く宛てがないんだった」

「知力25しかないから?」

「うーん、広義的に言えば」


 しかしこれからどうしたものか。後先なんて考えていないから、勿論何の予定だって立てていない。建設的な話をすると、野垂れ死にまでまっすぐの道を歩いているから、どうしようにもどうにもできない。


「うちで雇おうか?」

「いや、うーん。俺一つの場所に留まるの嫌でさ。『いろんなところ見に行きてーなー』って気持ちもある訳よ。わかる?」

「じゃあどうすんの」

「なんかいい食い扶持しらない?」

「知らないよ。……あ、いや。いいこと思いついた」


 愛娘っちが亜空間に物をしまえるスキル【収納空間】から何かの紙を取り出した。


「この前、ツテで20年代の水陸両用移動船の権利書を貰ったんだ」

「それを売るってのね。勿体ないことをするなあ」

「人の話を聞けるようになるにはあと100年くらい必要かな? これをあなたにあげる」

「なんでェ。またまた太っ腹」

「そこにに私も乗り込む」

「デブ」

「死なすぞ。知ってる? これ。あんた育ちだけは良さそうだから知恵はあるでしょ。これ!」


 そう言って彼女が出したのは石版のようだった。


「秘宝典?」

「その通り」


 秘宝典とは。世界に散らばる九つの秘宝「ナインクラク」の有り所を記す魔法の石版。石版の所有者がナインクラクを手に入れると、「枠」と呼ばれる4センチ×4センチのマスが赤い光で満たされる。九つ全てを満たすと、秘宝典は「鍵」になり、マルテコの塔を開ける事ができる。マルテコの塔というのは……この世界が始まって一番最初に作られた大地にそびえ立つ大きな塔だ。太陽まで続いていると言われている。


「マルテコの塔に行きたいの?」

「塔のてっぺんにはこの世の全てを買える宝があるって言われてるじゃん」

「なるほど。おけ。連れてってあげる」


 ということで、秘宝典を埋めることに決めた。




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