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八.敵、現る(2/2)

 陸地から目撃されないように沖合を泳ぎ続けること数十分。俺とキルステンは、断崖絶壁に張り付くようにして存在する小さな海岸に到着した。



「あれが、エレミヤなのか?」


「……ええ」



 海岸にミアプラ人らしき人影を確認した俺たちは、ある程度離れた地点で上陸し、粗い砂浜の上をゆっくりと進んで人影に接近していく。



(8本の腕と、2本の触腕(しょくわん)か。地球風に言えば、クラーケンといったところだな)



 俺たちを待ち受けていた人影――エレミヤは、下半身がイカに似た形状をしていた。上半身は人間の女性に似ているが、頭部や腰に付いた突起は魚やイルカのヒレのような形状をしている。


 エレミヤは、イカのそれに似た大きな眼で俺たちを睥睨すると、ケタケタと(あざけ)るような笑い声を立てた。



「あらあ、ちゃんと指示通りにふたりっきりで来てくれたみたいね。バッカみたい!」


「エレミヤ。男の子は何処にいるの」



 キルステンが、空色の瞳に怒りを滲ませてエレミヤを睨み付けた。俺もまた、周囲の状況にも気を配りつつ、エレミアの挙動を油断なく監視する。



「そうカリカリしないでよ。まだちゃんと生きてるから…………でも、その前に」



 エレミヤは、青白い唇に薄ら笑いを浮かべて俺を指差すと、とんでもない要求をキルステンに突き付けてきた。



「キルステン。その男の心臓を、ご自慢の短剣で貫きなさい。それが、子供の命を助ける条件よ!」

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