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九.明かされる真実(1/3)

 あまりにもぶっ飛んだ内容に、俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。



「はあっ!? いくら何でも訳が分からねえよ! というか、まずは子供の無事を確かめさせろ!」


「あーもう、キャンキャンうっさいわね」



 エレミヤはいかにも鬱陶しそうに肩をすくめると、(ふところ)から地球の金管楽器に似た奇妙な物体を取り出した。



「でもまあ、さっさと見せちゃった方が手っ取り早いわね。良いわよ、お望み通りご覧に入れて差し上げるわ」


「エレミヤ、まさか……!」



 エレミヤの手にした物体を見て、キルステンの顔が青ざめた。エレミアはそんなキルステンを鼻で笑うと、その物体を口に当てて息を吹き込む。


 人間には聴き取れない音が出ているのか、しばらくの沈黙の後に、すぐ横の海面が大きく盛り上がった。



「!!」



 唖然とする俺の目の前に、人間の男の子を触手で抱いたバージェスが現れた。

 男の子の口と鼻には何かの器械が装着されており、その胸や肩は緩く上下している。意識を失ってはいるが、命に別状は無さそうだ。



(何故だ……何故、バージェスはあの子を飲み込もうとしないんだ)



 子供のとりあえずの無事を確認すると、事件発生当初からわだかまっていた疑念が再び膨れ上がってきた。

 バージェスに知性は無く制御は不可能であり、殺すことでしか対処出来ない。少なくとも、ミアプラ人からはそのように教えられてきた。

 俺は、そっとキルステンの表情を盗み見た。



「……ッ」



 思いがけず、キルステンと目が合った。

 その瞳を見た途端、初めて会ったあの日からずっと不思議に思っていた事が、すんなりと理解できてしまった。



「それじゃあ、せっかくだから哀れな坊やに教えてあげるわ。残酷な真実ってやつをね!」



 エレミヤは勝ち誇ったような顔で言い放つと、キルステンとの因縁について滔々(とうとう)と語り始めたのだった。

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