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2つも要らないもの買いがち

「あなたがバトルロワイヤル参加者?」

生徒か先生か、だ。

齢十七程度に見えるその少女はどうやら私の初陣の相手らしい。

まだ神無月だと言うのに厚手のコートを羽織り、マフラーを巻いているその少女は私にこう告げた。

「面倒な挨拶は結構、さっさと始めましょう。」

その瞬間私の目の前は枯葉で埋め尽くされた。

……風か?いや、風にしてもこの量の枯葉が飛ぶのは有り得ない。なにより、風邪で飛ばされたと言うより()()()()()()()()()()

そのような奇妙な結論に至った2瞬後、私の腹部を強い衝撃が襲った。

2mほど後ろに吹き飛んだ私はすぐ目の前を睨んだ。

その視界に移るのはさっきまで空中にあった枯葉がヒラヒラと地に落ちる様子と前蹴りから戦闘態勢に戻ろうとする女子高生の姿だった。

……なるほど、空中に枯葉を浮かせることが出来る能力か。せいぜい目くらましにしかならなそうなものだが、初撃をまともに食らってしまったのは痛い。物理的に。

出不精かつトレーニングをしていない私の貧弱な肢体では女子高生の前蹴りですらダメージとなってしまっていた。

「随分派手な挨拶じゃないか、驚いてしまったよ。」

と虚勢を張りながら私は嘯く。

「挨拶がわりの1発よ、ありがたく受け取りなさい。」

何だこの生意気な女は。木の葉を浮かせて目くらまししかできないカス能力のくせに。普段の癖の暴言が心中で暴れ始めた。

対面の生意気な女をキッと上を向き睨みつけて見ると私の威圧的な目線は急激に恐怖を孕んだ。枯葉がまた浮いている。

ただそれだけなら、私もここまで慄いたりしない。その枯葉の先端が全てこちらに向いているのだ。さながら、()()()()()()()()()()()()()()()

案の定その葉は私の元へ風を切りながら飛んできた。

おいおいポケモンじゃないんだぞ。そんなくだらないツッコミをしながら、私は致命傷になりかねない首元を中心にガードを固めた。

枯葉とはいえ元は薄い木の葉。人間の柔肌に切り傷をつけることは容易だった。たちまち無数の枯葉によってボロボロになってしまった自分の両腕を見ながら私はふと我に返った。

私の能力は生成:小。手のひらサイズの見たことがあるものを生成できる便利な能力だ。だが、それが()()()()()()()()()。石を作って投げたところで女子に蹴り倒されてしまうこの体では火力に期待ができない。

かと言って銃やナイフなんかは生成の範囲外だし、そもそも見た事がない。

戦闘に関してカス能力だったのは私の方だったのだ。

「もう終わり?やっぱ陰キャ男はしょーも無いわね。まぁ私は楽できていいけど。」

暇そうに爪を見ながら少女は吐き捨てる。

逆転は未だ見えない。だが体制を立て直すために私はこの場の希望を右手に生成した。

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