1人の時って印とか結びたくならない?
ある日の放課後、携帯に奇妙な通知が来た。
何の気はなしにプッシュ通知に触れてみると、奇妙なアプリが起動しポップアップの吹き出しが出た。
『あなたはバトルロワイヤルへの参加の権利を取得しました、おめでとうございます。』
……バトルロワイヤル?こんなアプリを入れた覚えもなければ、通知の設定をした記憶もない。
おそらくクラスの誰かのイタズラだろう、馬鹿馬鹿しい。
私は呆れながらアプリを消そうとアプリのアイコンを長押しした。すると、なんということだろう。いつまで経ってもアイコンが震え出さない。
なんだこれ?アプリが消えないなんてことあるのか?新手のバグか?アプリを消すという簡単な動作が完遂出来なかった私は軽くパニックになってしまった。
私は落ち着くために、アプリの中身を見てみることにした。
……UIはしっかりしているようだ。タブは『能力』『ギルド』『トレジャー』に別れていた。
まずは能力のタブ。ここの中身に私は胸の高鳴りを覚えていた。勝手に入っていたアプリとはいえ自分に能力があるというのだ。軽い興奮状態の自分にはこのタブの中身が空っぽである可能性は考慮できなかった。
そして私は希望を胸にそのタブに手を触れた。次にポップした画面にはあなたの能力【生成:小】と書かれていた。
その能力名の部分をタッチすると能力の詳細が確認できた。
「今まで自分が見た事がある物を生成することが出来る。ただし、自分の手のひらより大きいものは生成できない。クールタイム:30秒」
……なるほど、錬成系か。だが、コストを必要としないのは便利だな。私は冷静に能力の分析をしながら他のタブの中身も確認した。
トレジャーとギルドのタブは現在は何も表示されていなかった。空白の中身に気になることは何一つなかった。 そうなると必然的に気になることは1つに絞られた。
生成:小。その能力の性能を試してみるために私はバッグの中にある消しゴムをイメージして目を瞑り、手の平を上に向けた。正直、そんなわけがないと思っていた。オカルト同好会の私ですらその存在を信用していなかった。
だが次に目を開いた時、その疑念は目の前の白い塊によって雲散霧消してしまった。
……本当に消しゴムだ。間違いなく私がさっきの授業まで使っていた、消しゴムだ。混乱と興奮の渦中にある私の心を更に1件の通知が現実に引き戻した。
『近くにバトルロワイヤル参加者がいます。』
……マジか。よくよく考えればそうだ、バトルロワイヤル用の能力なのだから敵がいるのは当然なのだ。そんな当たり前のことすら吹き飛んでしまうほど、能力を得た私は有頂天だったのだ。
『対象まで約150m』
続いて通知をスマホが知らせる。150m……?まだ勝手口を出た辺りだぞ、校門まで200mはある。つまり残る可能性は
「あなたがバトルロワイヤル参加者?」