第六話 なんでここに
昨日更新した話が評価されていたので嬉しくて週一というのを無視して更新です。
シャドバはマジでMP盛れません。
森が切れ、ノアたちは広い空間に出る。
日が傾き斜めに差し込む光の中、木々が倒れ、地面は抉れ、焦げた草や花が目に入る。
「なんだよここは……」
「多分だけど、兄貴がドラゴンとここで戦ったのかもな」
「ドラゴンと霊峰ラコンは関係なかったってことですかね」
「焦げ臭いね~」
「みんな気を引き締めろ。急に襲われるかもしれないぞ」
全員いつでも戦闘できるように構えながら、辺りを散策する。
鶏肉の構えはいつ見てもかっこいいな。なんであんなにかっこつけてるんだ。
「おやおや、皆様お揃いでどちらに?」
4人は声のした方へ振り向く。
鶏肉は勢い余って魔法を撃ち出している。魔物からの不意打ちを警戒している中で、本来はこれが正解の行動だろう。
相手はドラゴンでも他の魔物でもなかったのだが。
そこには眼鏡をかけた華奢な男が微笑みながら、こっちに向かって歩いてくる。
そして、目の前に岩の壁を生成して、鶏肉の魔法を防ぐ。
ノアたちは、その男を知っている。
いやこの国に知らない人はいないだろう。
「ギルマス。なんでここに?」
冒険者ギルド、ギルドマスターフィクス。その人がそこにはいた。
「こちらのセリフですよノア君。君1人だけならまだしも、パーティメンバーまで一緒とは、内密といったはずですが、ずいぶんなご挨拶もいただきましたしね」
フィクスは服に着いた砂埃を手で払いながら、魔法を擊った張本人を見やる。
ノアもそっちを向くと、口笛を吹きながら立てた襟をいじくってるバンダナ野郎がいた。
とぼけるにも他にやりようがあったのではないかとノアは思ったが、ふと、それどころではないことを思い出し視線をフィクスに戻す。
「俺は、兄貴の仇を討ちに来たんです。あなたは何をしているんですか?」
フィクスがノアの方を向く。
鶏肉は安心したように汗をぬぐってる。汗かきすぎだろ。
「私は、少し運動をしようかとおもいましてね……」
「こんなところでですか?」
「ええ、そうです。まだ体に馴染んでいませんからねえ。ついでに皆さんをお救い出来ればと思いまして」
一緒に仇をうってくれるってことなのかとノアは思った。
運動なんて嘘をついてまで。ツンデレか!
「僕たちがここに来るってわかってたってことですか」
ノアのすぐ近くで話を聞いていたジョーが話に割り込む。
「そういうことです。こそこそ何かを嗅ぎまわってると報告も受けました。ジョーあなたがね。なのでおそらくここに来るだろうということは予想できましたからね」
しばらくの沈黙の後、ジョーが口を開く。
同時に何かをしゃべろうとしたのか鶏肉が気まずそうに天を仰いでいる。気持ちはわかるぞと言わんばかりにエニが鶏肉の肩に手を置き頷いている。なにしてんだ。
「……ノアさんから話を聞いたとき、おかしいと思いました。はるか昔から生きているドラゴンがいてそれについて古い文献を漁ったと」
フィクスを含め、ノアたちパーティメンバーもジョーの方をじっと見つめている。ジョーの顔は強張り何かを警戒してるようにノアたちは感じた。
いったい何を恐れているのか。
「師匠。魔物がこの世界に出現したのは10年前ですよね? ドラゴンも同時期に出現していたのだとしたら、古い文献ではなく、最新の魔物図鑑に詳細が載るはずです。それが無いということは今まで誰もドラゴンに出会っていないか、出会っても帰ってきていないということになります」
「皆の前ではマスターと呼びなさい。それで、なにがいいたいんです?」
フィクスの顔から微笑みが消えた。いや、表情は変わらず微笑んでいる。フィクスの纏う雰囲気が変わったのだ。
「……!」
ノアはこの気配をどこかで感じたことがある。今は思い出すほどの余裕がない。それほどに不気味でどこか黒いそんな雰囲気だ。
ジョーは少し気おされながらも話を続ける。
「二つ仮説があります。そもそもドラゴンについての話は全くの嘘ということ」
誰も声は出さない。
静寂に包まれた空間でジョーの声だけが響く。
まるで劇場の舞台の上の役者のように。
「僕はとある事情でドラゴンがこの世界にいるのは知っているのでこの仮説は成り立ちません。マスターがほんとにドラゴンを知らないでついた嘘の可能性もありますが、まあそんなことはないでしょう。その辺は信用してます」
「おい、ドラゴンについて知ってたってよ」
「ジョー君隠し事する時必ず顎触るから、何かあるなあって思ってたけどこういうことね~」
「ジョーってそんな癖あったの!? 言えよ!」
鶏肉とエニが小声でひそひそしゃべってる。今ジョーが大事なこと話してますよ。
――もう一つは。
ジョーはギルマスの方をじっと睨む。
「ドラゴンに直接会って聞いたということです。ドラゴンに言葉が通じるのか否かそれは僕にはわかりませんが、事実として直接会わないとわからないことをマスターは知っていて、それでいて今生きてここにいる。そもそも古い文献なんて物は存在しない。当然目撃者もマスターしかいないということです」
さらに矢継ぎ早にジョーは続ける。ぶっちゃけ口を挟めるタイミングがない。
「グラリスさんと一緒にドラゴン討伐に赴き、勝てないと悟ったグラリスさんはマスターだけを逃がしてその場に残った。という筋書きの方がよかったのではないですか? まあ、それでもいろいろ穴はありますが」
ジョーは少しうつむき悲しげな表情を浮かべる。
筋書きとかなんかわけわからん事言い始めたぞコイツと思うノアたちに対しフィクスは依然として微笑んでいる。
「10日くらい前から違和感はありました。纏う雰囲気が変わったといいますか。もう、小さい頃の僕を拾いここまで育て、魔法を教えてくれた師匠はもういないんですね」
――あなたは何者ですか?
全員の視線がフィクスの方を向く
音がどこかに持ち出されたかのような静寂。
微笑んだままのフィクスがゆっくりと口を開く。
「あなたたちが生まれる前フリードで戦争がありました」
フィクスが過去を語り始める。
なんかコイツ語りだしたんだけどみたいな顔をするな鶏肉。
ジョーの推理もっとどうにかなったんじゃないかと思ったけどこれが限界。
作中の登場人物は作者より賢くなれないのです。
前話に出たジョーの師匠はギルマスでした。
なのでギルマスとジョーは同じ魔法を使います。
鶏肉はふざけてるわけじゃないけど、感情がわかりやすく表に出る人です。
次回過去の話です




