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第二十四話 巨竜墜つ

 アナデンのオクトラコラボが熱すぎるんだよな。


 更新です。

 今回少し長め~

 

 黒銀の竜は脇目も振らずに白金の竜に飛翔する。

 雷を纏うその竜の体躯は黒銀の3倍以上は大きく、頭には一本の角が天を指す。


 相手の方が大きいからと言って立ち向かわない理由にはならない。


 白金の竜は咆哮と同時にその口から雷を黒銀の竜に放つ。

 黒銀の竜の鱗が輝きだして雷を受け、そのまま近づき炎のブレスを吐き出す。

 白金の竜はそれを正面から受け止めるが、効いてる様子はない。


 白金の竜は体が大きい上に頑丈。

 それに加え、地上には魔物の大群。


「……入るスキがないな」


 空を飛ぶヴィントは、鳥型の魔物を相手にしながら竜の戦いを見る。

 あれは、人間が割って入れる戦いではないとヴィントは悟る。


 さらに鳥型の魔物の群れがヴィントに向かってくる。


「風域・嵐刃」


 風の刃が魔物を迎え撃つ。数十体仕留めたところで魔物たちが動きを止め、ヴィントに向かって叫びだす。


「仲間が死んで怒ってるのか? それはなんだ命乞いか?」


 魔物の激昂、命乞い、そんなものどこ吹く風よ。

 先に手を出したのはそっちだろう。


非ず鳥の翼撃(あらずどりのよくげき)


 激しい突風が鳥型の魔物たちを吹き飛ばし、そのまま地面に叩きつける。

 ぐちゃりという音と共に羽が散る。


「乞えば風が止むと思うなよ? ――はぁはぁ、それにしても数が減らねえ」


 ヴィントは肩で息をしながら、途切れることのない魔物と接敵する。



「頭が高い」


 魔物たちが地面に押し当てられ動きが止まる。

 そこに近づくは死の足音。


「死に抱かれて眠るなら、死はお前を包んだだろう。死を恐れて隠れるならば、死はお前を許しただろう」


 グレイブの魔法による重力下で身動きが取れない魔物にヒカリはそっと手を触れる。

 その瞬間、触れられた魔物は――生命活動を停止した。


「どうやって生まれたかは知らないけど、どうやって死ぬかはよく知ってる」


 ヒカリの魔法。それは、寿命の設定である。

 ヒカリは触れた魔物の寿命を0に設定し、付与している。

 まさに絶死の手。死神は風のようにそっと命を運んでいく。

 

「あのドラゴンに触れるのは……無理かな。雷纏ってるもん。せめて小物達だけでも……」


 ヒカリは次の標的へと走り出す。


「吸い込め」

 

 あまりの運動音痴により変な走り方をしてる依頼主を見てられないグレイブは真上に黒い球体が出現させ、魔物たちを引き寄せていく。

 グレイブに対しヒカリはジトっとした視線を向ける。


「……それ、最初からやってよ」


 引き寄せられてくる魔物にヒカリはそっと触れていく。

 グレイブの出した球体には死体だけが吸い込まれる。

 



「うわ、あぶね!」


 カオエンに狼型の魔物がとびかかる。

 それを後ろに飛んで躱し、反撃しようとしたところで魔物が凍り付き、粉々に砕け散る。


「余計なお世話だったかしら?」

「いや、助かった――けど、さっきより魔物多くない? 喰い切れない。しかも暗すぎて何も見えないし」

「皮肉にも唯一の明かりがあの怪物の雷ですもんね」


 アイシーは白い息を吐き出しながらあたりを見渡す。

 確かに多いし、視界も悪いがそれよりも味方が少ないというのが問題だとアイシーは感じた。

 200人近くいた冒険者たちがたった12人しか残らなかったのだ。


 

「……ですが、今はこのメンバーでやるしかありませんわ。あの雷の怪物に手が届かない私たちは特に」

「今は、あの黒いトカゲみたいなのに任せるしかなさそうだもんね。あれが味方かどうかもわからないけどね」


 大きく息を吐き出し、目をギンっとさせカオエンは魔物に向かう。

 気合を入れたわけでは無く、暗いから目を凝らしただけである。


「食べるほど回復するカオエンさんや、特異体質のトリフィムさんとかは別としても、さすがにこっちの魔力切れが早そうですわね」


 アイシーもカオエンに続く。

 考えてもしょうがない。今はやれることをやれるだけ。

 凡事徹底。アイシーの座右の銘である。


 

「おいおい! もうへばったか!?」


 彼の後ろには真っ二つにされた魔物の数々。

 だから、防衛戦だっつってんだろ。どこに行くんだ。

 そんな言葉を血のにじむ口の中に押しとどめ、リーリエも舞う。


 可憐なる白き花弁が、混濁の大地にて舞う。

 魔物の悲鳴を歌に舞うは踊り子、それを前に悪しきは潰えるのみ。


「ははっ。まだいけそうだな!」

「しかし、この数……魔力が持つかわからないぞ!」


 常に身体能力強化魔法を使っているセリクとリーリエは魔力の消費がとにかく激しい。


「持たせるんだよ。気合でどうにかしろ」

「――しかし!」

「あの雷のでっかいのは、よくわからんのが相手してる。俺たちにできることはいち早く小物を殲滅することだ――そんなこともできずに国王陛下護ろうってか?」

「……普段働かないくせに口は回るな。いいだろうお前より多く倒して見せよう。力尽きるまで」

「……いいね」


 リーリエは盾を、セリクは剣を。

 最強の盾と最強の矛が迫りくる魔物に立ちはだかる。


 


「……はぐれたなこりゃ」


 闇夜の中、数百の火の玉が魔物の大群に飛翔する。

 暗闇で魔物が見えなくてもこの大群だ。どこに魔法を放っても大体当たる。


 狙う必要が無いなら熱き漢の独壇場である。


「あっちで騒いでるのは多分サブマスか。あ、あそこ光ってんの大将だろ。合流しようk……がは!」


 暗闇の中何かに殴られ、いや、突撃され鶏肉は吹き飛ばされる。


(うわ痛え、何本かいったなこれ。暗すぎて魔物が近づいてるのに気づけねえ)


 口から血を吐きながら鶏肉は火の玉を数個生成し、辺りを照らす。

 そこには人間の数倍の大きさはあろう猪型の魔物が。

 それも一匹ではない。群れだ。


「いや、これまじか」


 鶏肉の脳裏によぎる諦めの文字。

 絶体絶命の状況が思考を加速させ、過去の情景が脳を通り過ぎる。




「依頼の場所この辺だよな?」

「結構歩いたね~」

「あ! いました! あれあれ!」

「俺とジョーが前に出る! 鶏肉とエニはサポート!」


「おう」

「はい」

「うん」


 

「このトカゲの魔物ちょろかったな」

「ちょろいって、そりゃあノアさんが全部一人でやっちゃいましたからね」

「かっこよかったな~」

「「「!?」」」


 エニがポツリとこぼした言葉に男達はワナワナと動揺する。

 わかりやすいといったらない。

 

「この魔物」

「んだよ魔物かよ」

「ノアさんのこと言ってんのかと思いました」

「うん、俺にモテ期来たのかと思った」


「ははっ何言ってんの~魔物だよ魔物」

「これのどこがかっこいいんだよ? ああ。消えちまった」

「わかってないな~トリ君は。見た? あのピンと立った襟! 私があの魔物に名前つけるなら襟トカゲだよ!」

「意味わからん。ほら帰るぞ」

「まだ、襟トカゲの魅力を語り終わってないんだけど?」


 エニは頬を膨らませプンスコしてる。


「あれ見ろ。ノアとジョーはもうあんなところまで行ってるぞ」

「じゃあ続きは帰ってからだね」

「勘弁してくれ」



(これが走馬灯ってやつか。あの時から俺はこういう服を着るようになったんだよな。全く……笑っちまうくらい単純だな俺)


 立ち上がることもできずに、ただ突撃してくる魔物を見ることしかできない。死を覚悟しぎゅっと目を閉じ、衝撃に備える。


(これが最後かよ……)


 しかし、いつまで経っても魔物が襲ってこない。

 それに体の痛みが引いていく気がする。

 ゆっくり目を開け火の玉を生成すると、周りが花々で埋め尽くされ、正面に桃色の髪を揺らしながら大木ほどの荊で魔物の群れを締め上げてる見慣れた姿が。


「エニ……!?」


 エニはぴょんと跳ねながら振り向き二コパと笑う。

 おまけに両手の親指を立てこちらに向ける。


「暗すぎてはぐれちゃったけど、トリ君の火の玉見えたから走ってきたよ~」


 締め上げられた魔物たちを暗闇から姿を現した魔食花がぐじゅぐじゅと喰らいだす。

 めっちゃキモいという言葉を呑み込みゆっくり立ち上がる。


「トリ君ピンチだった? ――私ってば頼りになるなぁ~」

「マジでダメかと思った。走馬灯まで見ちまったよ」

「え? どんなの?」

「この戦いが終わったら教えてやる」

「いいね~終わった後の楽しみができた」


 そのままエニの前に立ち襟を整え、バンダナをきつく縛る。

 大きく息を吐き魔物を見据え、ポツリと言葉をこぼす。


「こんだけ魔法使ったんだ。疲れたろ? ありがとうな。ここからは漢気バリバリのかっこいい襟トリフィムが変わろう」


 エニは無言で頷き、目の前にいる漢にも聞こえないような吐息のように声を吐く。


「間に合ってよかった……」

 

 

 戦場を彩る、美しい炎があった。

 振り返ることなく進む彼の背中を追いかけて、エニもニコニコしながら走り出す。

 皮膚の硬い魔物だろうと、液状の魔物だろうと彼の攻撃を止めることはできない。

 戦場を貫く真紅の炎は、皆を導く灯火に。



「鶏肉はなんであんな遠くにいるんだ?」


 ノアはヒカリの光の斧を振り回しながら暗闇の中遠くに灯る火の玉を見る。

 

「トリさん防衛戦の意味知らないんじゃないですか?」


 死にかけていた者のことなど露知らず、南門の正面に陣取る2人は呑気なものだ。


 2人?

 他の人もどっか行っちゃってるじゃん!!


 ノアの攻撃が何かに弾かれガギンと音が鳴り響く。


「なんだよコイツ! 硬ってえ!」


 ノアが振り下ろした斧はその甲羅に弾かれ手から弾き飛ばされる。

 ジョーの千手観音も拳を振るうが尽く砕かれ、その魔物の突進により千手観音が完全に砕け散る。


「硬いなんてもんじゃないんですけど!!」


 英雄組において一番の攻撃力を誇るノアの斧を弾き、一番の防御力を誇るジョーの岩魔法が砕かれたということは、現状この亀の魔物に勝てる術は無い。


「一旦他の人と合流!!」

「回り込まれてます!!」


 当然、亀の魔物も一体だけではない。

 そして、その体躯は地球の亀と違い人間の倍はあり恐ろしく動きが早い。


 ノアとジョーの脳裏に死がちらつく。


 気が付けばこの辺りに際限なく降り注いでいた雷はいつの間にか止んでいる。

 白金の竜をギルマスが追い詰めている証拠だろう。


 雷の代わりに降るは光の奔流。


 その光を浴びた魔物はガクッと地面に倒れこみ、気を失う。

 ノアもトーナメントで浴びたこの光は、対象を強制的に眠らせる優しき光だ。


「ステラか!?」


 あたりを見渡すがその姿は見えない。

 助かったけど、どこにいるんだよ!


流星メテオール……ふぅ」


 いまだ壁の上に取り残されているステラがゆっくり息を吐く。


「私は慈悲深いのです。悪しきものとて命までは奪いません。死にかけになるまでボコボコにして後で笑ってあげます。魔物のあなた達にはそんな未来がお似合いです」


 不殺の光は世界を照らす。


 それは星、示すは、希望。

 願い携え先行くものへ、無数の光を授ける。

 彼の炎を灯火とするなら、星の光は道標、平和な未来への。

 

 ステラの光に照らされた世界で、空を舞うヴィントの瞳にそれは映った。


 

 白金の竜の腕を食いちぎる黒銀の竜を。


 ――そして。


 黒銀の竜の片翼を食い破った白金の竜を。


 奪われし黒銀の翼。

 バランスを崩し、其れは魔物の大群のど真ん中に落下する。



 落下の衝撃で周囲の魔物は吹き飛び、周囲で戦ってる者の視線を集める。

 雷を纏いし白金の竜は急降下し、その勢いのまま地に伏した黒銀の竜の頭を――



 



 ――踏み潰した。






 ……因果応報です。


 まあ、作品タイトルがこうだし、わざわざトーナメントして最強の称号与えたってことは大体こうなることは予想できたと思うけどね。


 あとはそうだね。倒すだけ。


 サブタイトルのもう一つの候補「誰のための因果応報」だった

 こっちもおしゃれでいいよね~ 

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