第二十二話 シュテルクスト防衛戦
年内完結予定!!!!!!!
更新です
「意外と手ごたえ無いな! ――ファイアーボール!」
鶏肉は迫りくる魔物の軍団に魔法を撃ち続けている。
「そんな余裕なのトリさんだけですよ!」
「ほんとだよ! もう私きついよ……でも終わりが見えてきたんじゃない?」
魔物との戦闘が始まってすでに数十分が過ぎただろうか。
視界を覆いつくすほどの数だった魔物はその数を減らし、エニの言う通り終わりが見えてきた。
「それでもまだ数は多い! 油断するなみんな――シャインメイク。光輝の剣!」
ノアは魔物の集団の中に突っ込んでいく、その後を英雄たちが追う。
「さすがに数が多いですわね……」
アイシーは氷漬けになった魔物に目を落とし、ため息をつく。
いくら上級冒険者とて魔力量にも限界がある。
誰も彼も襟おっ立てバンダナ男とは違うのだ。
「おつかれかい? 女王様」
「あなたはなんでそんな元気なのかしら?」
カオエンの球体が魔物をぐちゅぐちゅと音を立てて貪っているのを細目で眺め疑問を口にする。
「見ての通りだよ」
「見てもわかりませんけど……」
「食べた魔物をエネルギーに変換してるんだよ」
「あら、便利なのね――彩鳥氷柱!」
アイシーは氷漬けの魔物を踏み越え、いまだ迫りくる魔物と対峙する。
「暴喰暴喰!!!」
巨大な大口が地面をえぐりながらアイシーが凍らせた魔物も含め大量の魔物をその球体に収める。
アイシーは顔を引きつらせながらそれを見る。
(魔物相手だと、ここまで容赦ないんですわね。トーナメントが殺し禁止でなければ負けてたのは私ですわね)
カオエンがいればどうにかなりそうな南西防衛場所であった。
「斬り放題だな! これは武勲に名声もらい放題だ」
セリクは二刀に魔力を込め、迫りくる魔物を両断しながら突き進んでいく。
防衛戦なのにいったいどこに向かっているのやら。
呆れた目でそれを見るギルド職員たちであったが、一人で魔物を蹴散らす姿に、かつての平和の象徴を見た。
一騎を以って千の敵を討つ。
それ即ち、一騎当千である。
「あのおっさんのことは気にするな! アイツは一人で勝手にどうにかする! 私たちは私たちのできることをしっかりやるぞ」
かつて護衛騎士団を率いていたおっさんを横目に現団長のリーリエは大きな盾を前に構え、魔物に突撃し魔物を吹き飛ばし、それを他の騎士たちがとどめを刺していく。
リーリエのほかにも盾を持ってる騎士は多くいるが、リーリエが前線に出張ってる時点であまり出番が無いので、少し後ろで取りこぼした魔物を処理する役割を担っている。
まあ、それもどっかのおっさんが暴れまわってるからほとんど取りこぼしも無いのだが。
迫りくるカラスのような魔物。
一体一体は弱くとも、群れともなれば厄介度は何倍にも増す。
烏合の衆、さりとて集団である。
それも、相手が[白疾風]でなければの話だが。
「風域・嵐槍」
決勝こそ負けたが、最強に最も近づいたヴィントが迎え撃つ。
魔物たちはなすすべもなく、羽を散らせ、血をまき散らし、地に落ちていく。
下で戦ってる者達の驚きの声が聞こえるが、そんなものはどこ吹く風。
ヴィントは絶え間なく襲ってくる魔物から目をそらさない。
各闘技場に浮かぶスクリーンには壁の外で戦う冒険者たちが映し出され、それを見る観客たちの表情には不安の色がにじむ。
スルヨは場を和ませようとその戦いを実況する。
こんな時に何をしてるのかと思われるかもしれない。戦う事ができないスルヨにはこれしかやることが無いのだ。
『ノア率いる英雄組はトリフィムの魔法を起点に魔物を蹴散らし、南西ではカオエンの魔法が暴れまわり、さらに南東では、冒険者ギルドサブマスターのセリクが単騎で魔物の中に突っ込んでいったぞぉ!』
「どうにかなりそうですね」
国王の傍に控え、いつでも戦闘できる準備をしている、新たなる最強がスクリーンを見上げる。
そのスクリーンの端に夜のローブを着ている女性が映し出され、その者にとある二人が近づいている。
「こんなにあっけなく終わるものなんでしょうか?」
「まだ始まってもないですよ」
「!?」
隣から少女の声が聞こえ、ステラは勢いよく振り向く。
その横には熊のマスクをつけた大男が。
「驚きました。グレイブさんと……そちらは?」
「初めまして、ヒカリです」
「……ヒカリさん。まだ始まってもないというのは?」
「初対面の人の話をあなたがどこまで信じてくれるかはわかりませんが、すべてお話ししましょう」
ヒカリは話した。
自分が神だったこと、この世界には命の総量というものがあり、そしてこの事件はおそらく私のせいで起こったものだと。
「……あなたの話が全部本当だとすると、廻った命が全て魔物になった場合こんなものでは無いということですか?」
「はい」
「でも、すべてが魔物になったとは限りませんよね?」
「おっしゃる通りですが、警戒しておくに越したことはありません」
――せっかく平和に暮らせる時代が来たんです。それが私の過去の行いのせいで壊れようとしてる。
ヒカリはまっすぐにステラを見据る。
「だから、せめて私の手で食い止めなければ」
ステラはゆっくり息を吐き出し、目を閉じる。
そして目を開けこう告げる。
「気持ちはわかりますが……ヒカリさんはどのような魔法を使うのですか?」
ヒカリはノアたち英雄達にも教えてない自身の力をステラに告げる。
ノアたちに言わなかった理由は特にないが、言わなくてもよかった。
ただそれだけである。
「……ほんとにそんなことが?」
命の総量の話をスルっと受け入れたステラだが、ヒカリの魔法はにわかに信じられなかった。
「この世界の魔法ってなんでもできるじゃないですか」
「「そんなことない」」
ステラとグレイブの声が重なり、ヒカリはきょとんとする。
魔法とは《想像の具現化》である。
細かく鮮明な想像は魔法としてこの世界に具現化するのだ。
逆に言えば、想像できないものは何もできないのだ。
ヒカリがそれに気づいているわけでは無いが、自身の力の再現により、そういうもんだと思っている。
「まあ、その力がほんとならグレイブさんと一緒にいる理由はわかりますが……」
――でも、まだその時ではないでしょう。
「戦いに行きたい気持ちもわかります。あなたがこの事件の原因だというならなおさら。しかし、先ほど言った通りこれがまだ始まりですらないならここでの消耗は避けるべきです。あなたの魔法は切り札になり得ます」
ステラがそう告げると、ヒカリは爪がめり込むほど拳を握り締める。
何も言い返せない。
ステラの言ったことは何一つ間違いのない正論だった。
「戦いに行きたいのは私も同じです……」
未来を見ていたのに何もできないステラ。
その表情は歪んでいる。
ステラの魔法、夜は、文字通り範囲を指定し疑似的な夜を生み出すことだが、集団戦において味方の視界も暗くしてしまっては元も子もない。
本当の夜が来るまで待つしかないのだ。
この先は、この私に見通せない未来。
世界を揺るがしかねない、運命の分岐点。
そんな未来を持つ者達がどんな道を歩むか。
どうか見守らせてもらいたい。
「占い師さんそんなこと言うんだな」
グレイブはステラに突っ込む。
「……独り言です」
ヒカリは下で戦う英雄たちを見つめ、どうか死なないようにと願う。
日が沈み、夜が来る。
結構駆け足で更新してるのには理由がありまして、最近書きたい欲より、読みたい欲が高すぎるんです。
買ったけど読んでない小説いっぱいあるんだよね。
ヒカリの見た目は16歳くらいだから少女って書き方してる。
ここまで読んでる人いないと思うけど、一応聞くね?
大体こっからの話の構成わかるっしょ?
そう!あなたの想像通りに物語が進むぞ!!
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