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最強を殺したドラゴンを倒したいと思います  作者: 加加阿 葵
第一章 竜との対峙、廻る命
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第十一話 終戦の凱歌

 仕事で運使いすぎて、ガチャ運が終わりすぎてる作者。


 今回と、エピローグ数話で第一章完結となります。


 まだ、エピローグも第二章も書いてないけどね!!!


 よろしくお願いします。




 誰もが諦めかけていた時、仲間の声が聞こえた。

 上半身裸の。


「ぽん!!」



 その声と同時にノアたちの近くの地面から竜が出した腕と同じくらいの大きさの腕が現れる。

 手を開いたそれは竜の放った握りこぶしを手のひらで受け止めている。


「なんだ? ぽんって……?」

「鶏肉! そんなこと良いから離れるぞ!」


 ジョーの魔法が間に合いその間にノアたちはすぐに飛びのく。


「抗いますか。ジョー」


 竜は口に火を含んだ。


「させない!!」


 竜の口の中に光の矢が突き刺さり口の中で火が爆ぜる。


「くっ……! こざかしい!!」


 竜は人の頭サイズの岩を数十個生成し下に向けて放つ。


「グロウアップ。ブリングの大樹!」


 突如としてそこに大樹が現れる。

 その葉が枝が、岩を全て受け止める。


「わお! 自分で出しといてなんだけど全部受け止めるとはおもわなかったわ~。やっぱり私頼りになるね~」


「1人で何言ってんだ! 次来るぞ!」


 鶏肉が魔法を構える。


「……ならば」


 竜が翼を大きく広げ何かを繰り出そうとしたその時。


 ――何かが割れる音がした。


 竜も含めノアたちは音のした方へ、岩の腕が相対する方へ視線を向ける。

 そこには握りこぶしがジョーの魔法の手により砕かれていた。

 握りつぶされていたという方が正しいか。


「じゃんけん……僕の勝ちのようですね!」



 そうしてジョーもお返しと言わんばかりに岩の柱を地面から生成し竜に向けて放つ。


「この程度避けるまでもない」


 鱗が輝きだし傷一つつかない。


「……!」


 ジョーはこの時何かに気づく。


(あの鱗、防御する時だけ光りますね)


「ノアさん!!」


 ジョーが叫ぶ。

 その叫びでジョーの伝えたいことが理解できてしまうのも、長く一緒にいた親友だからなのだろう。

 今は服切れすぎて上裸になってるが……ジョー裸になっているが。

 ノアは1人で変な想像をして吹き出しそうになったが、鋼の精神で平静を保ち何事もなかったかのように魔法を繰り出す。

 ノアは笑いのツボがおかしいのである。鶏肉が鶏肉料理食べてるだけで面白いのだ。



「ああ! シャインメイク。光輝の弓」


 光の弓を弾き絞り放つ。

 その光の矢は十数本にわかれどこを狙うのでもなく不規則に竜に向かう。


「どんな攻撃が来ようと無駄です!」


 鱗が光りだす。

 竜はすべての矢を鱗で受け止めた。


(やっぱり。でも体全体が光るわけでは無いようですね。おそらく魔力を鱗に込めているのでしょう。まだ、体全体を覆えるほどの魔力操作は無理だということですか。なるほど単体攻撃特化のグラリスさんが負けるわけです。でもうちには……)


 ジョーは、ぎゃいぎゃいうるさいバンダナ男の方を見る。


(トリさんならきっと……ってかなんかうるさいと思ったらドラゴンに文句言ってますね。肝が据わりすぎでしょ)


 ジョーは立ち上がり、ひっそりと竜の視界から外れるように走り出した。


「なんなんだよおい。こっちの攻撃全然効かねえじゃねえか! ずるいぞ! 弱点くらい教えろよ!」


「この鱗に覆われた体に弱点などありません」


「弱点がない? おいおい、訊いてみるもんだな!」


 言葉通じることをいいことにしれっと弱点を訊こうとしてるよこのバンダナ襟おっ立て男は。

 エニ、ドン引きしすぎでしょ。その顔本人には見せんなよ。



 弱点が無いならば狙う必要もない。

 鶏肉は手を突き出し火の玉を生成する。


「たかがファイアーボールなどいくら撃っても無駄です」


「たかが……たかがねえ」


 鶏肉はにやりと笑う。




 魔法とは自身の体内にためた魔力を用いて発動する。

 竜は遥か昔よりためていた魔力を使い大陸に魔物を出現させていた。

 その魔力をため込める膨大な貯蔵量あっての力技だ。



 指に火を灯したり、火の玉しかつくれない彼を他人は嘲る。

 冒険者なんてやめちまえよと。


 本人は気づいていないが、トリフィムは特異体質であった。

 通常の人間が体内にためておける魔力を100~300とするなら、トリフィムの魔力貯蔵量は実に2000に及ぶ。


 なぜ、特異体質に気づかないのか、おそらく表には出さない自己肯定感の低さが故だろう。



 ノアたちは思う。

 天は二物を与えずと言うが、トリフィムには与えてしまったのだと。


 膨大な魔力量と、そして……どんなに馬鹿にされ挫けてしまっても、諦めず前に進むその心の強さを。

 

 故に上級冒険者パーティの、ノアたちの愉快な仲間なのだ。


「言われ飽きたんだよそんなこと……!」


 鶏肉の周りに火の玉が次々と生成される。


「俺は魔法の質ではだれにも勝てなかった。だから俺は数で勝つんだ。魔法の数と……挫折の数で!!」


 生成される火の玉は、10を超え100を超える。


「身を焼く無様を味わおうとも――唯一つ。これがドラゴンに負けない漢の強さだ!!」


 その数は1000に達し、あたりが火の玉で埋め尽くされ、魔法を放つ本人さえ無事で済むかわからない。


「ファイアーボール……!」


 1000を超える火の玉が竜に向かって飛翔する。


「どれだけ数があろうと所詮火の玉です」


 竜は火のブレスを吐き出す。

 そのブレスは鶏肉をも巻き込む。



「…!!」


 ブレスを突き抜け火の玉が竜に迫る。

 

 鱗に魔力を込める暇もなく、身をひるがえし避けようとするが間に合わない。

 火の弾幕が竜に被弾する。

 一個一個はか細い威力でも1000を超える火の玉をすべて被弾して無事で済むわけがない。



 火が重なり、それは炎に。


 極めた魔法は一つの奥義に。



 竜は咆哮を上げる。

 放たれた咆哮はどこか悲鳴にも聞こえる。


「な……ぜ、私のブレスで消えない……!?」


 ブレスの火の中から鶏肉が姿を現す。


「俺の心は何よりも熱く燃えている。だから俺も俺の魔法も燃え残る……!」

 

 かっこつけて襟を直そうとしてるけど、エニにぶった切られてるから手が空振りしてる。

 締まらないなあ、鶏肉らしいけど。



 鱗が焼け翼が爛れ、体勢を崩し竜が地面に落ちる。


「なんだよ俺……そこそこ強いじゃん」

 

 魔力を使い切った鶏肉は膝をつく。


「今更気づいたのトリ君? 前からずっと強かったよ! 今日は特に……ね! グロウアップ! グツバミの荊!」


 地面に落ちた竜の周りに丸太ほどの太さの荊が生え竜の体に巻き付く。

 焼け爛れた鱗に荊の棘が突き刺さる。


 竜は荊の中で体をうねらすがそれが余計に棘を深く刺してしまう。


「はあ……きっつ。んじゃ、あとはよろしく~」


 ノアが竜に向かって歩き出す。


「誇れよドラゴン。大陸最強を屠った力を。誇れよドラゴン。俺たちがここまでしないと勝てなかった己の強さを」


 ノアが体に光を纏う。


「あなたは言った。苦しみにまみれて生きることに何の意味があるんだと、それは――希望があるから」


 竜は荊を力ずくで千切り血まみれの翼で再び飛翔する。


「おいおい大将! 悠長に話しかけてるから飛んじまったぞ!」


 トリフィムは叫ぶ。

 しかし、叫んだ本人も話しかけていたノアからも焦りの色は見えない。


 

 その理由に竜はまだ気が付いていない。




「何が希望だ!!」


 竜はブレスを放とうとノアたちを見やる。


「……!」


 竜は気づく。一人いないことに。

 竜は気づく。隣に迫った死神の足音に。


「死がすぐ隣に来るまで気づかないとはお粗末ですね」


 死神は風のように突然現れそっと命を運んでいく。

 どれだけ命が廻ろうとその存在は無くならない。

 自身の魔法で空中に身を投げたその代行者が今、力を振るおうとしてる。


「失った人たちは戻って来ません。だけど、その人達が生きたかった平穏をわざわざ壊す必要がどこにあるというのですか!? あなたの正義は行き過ぎた。悪になってしまうほど、過ぎたる善も過ぎたる悪も、この世界においては毒なんですよ!」


「ジョー……!」


「悪党に裏切られたという顔をされるのは心外ですが……ってか先に裏切ったのそっちじゃないですか!!」




「あいつなんかめっちゃしゃべってるけど、もう落下し始めてるよな」

「おしゃべりしに行っただけなんじゃない? ってか着地どうするんだろ」

「さあ? エニ拾ってやれよ」

「今日私いなかったら大惨事だったんじゃない?」

「エニがいたからジョーの服大惨事になってんぞ」

「拾ってあげることでチャラになりますように……」


 鶏肉とエニがもうやること残ってなくてただのガヤになってる。せめて応援してやれ。



「使わせていただきます神の力!! あなたの命は廻ります。平穏のためお命頂戴します」


 ジョーの手に禍々しくも美しく見るだけで息がつまりそうな鎌が現れる。


「せめてあの世では穏やかに……師匠!」


 ジョーは鎌を振り下ろす。

 直前で身をひるがえした竜は致命傷を避けた。

 ノアは気づいている。竜が避けたのではない。ジョーの迷いが手元を狂わせたのだと。


「……ぐっ」


 竜の胴体に一筋の傷ができる。

 もう鱗に魔力を込めるほどの余裕が無かったのだ。

 時間的にではなく魔力的に。


「こんな時に迷ってしまうなんて死神の代行失格ですかね。あとは、ノアさんにお願いしますか」


 着地をどうするか全く考えてなかったジョーは仲間の方を見る。

 膝を抱えて小さく丸まって座っている鶏肉と、エニが魔法を唱えているのが見え、安心したジョーは目を閉じる。


 え? ――トリさん余裕こき過ぎでしょ!?




「もう仲間たちは限界だろう。あとは君だけだ!!」


 竜はノアに向かって急降下し爪を振るう。


「ふっ!」


 光を纏ったノアがその場から消え、光の残像だけが残る。


「その魔法は……グラリスの身体能力強化……!?」


 爪を空振りした竜は地面に着地し消えたノアを探す。


「例えば、新しい魔法を覚えたい」


 竜の真後ろからノアが言葉を放つ。


「例えば、おいしい肉を食べに行きたい」


 ノアの右手がより一層光りだす。


「そんな尊い希望をもって生きている人たちを守るため、俺たち冒険者は全力を尽くす」


――命を懸けて


「シャインメイク。憧憬の斧……!」


 ノアの右手に光で出来た斧が握られている。

 誰もが見たことがある――あの斧だ。


「あいつらしい魔法だな全く。やっちまえ……大将」

「お願いしますノアさん」

「ノア君やっちゃえ」


 ノア本人には届いていないであろう声援。

 しかしそれでも仲間たちの想いはノアの手を引き。かつての最強が背中を押す。



「輝斬・断柱!!」


 ノアが斧を振り下ろす。

 着地してすぐの竜に避ける術はない。

 当然焼け爛れた鱗に魔力を込めることはできない。




 天を切り裂き下されるは、慈悲深き光の審判。

 それは一筋の奇跡。




 光の中放たれる竜の咆哮は終戦の凱歌に。


 自作自演Q&Aパート2


Q、なんでドラゴンが負けちゃったの?

A、ドラゴンの能力はもらったけど、フィクスの魔力貯蔵量でそれを使わないといけないから、すごい大技とか連発できない。だから途中で自分で出した魔物も一緒に消し飛ばして節約してるし、鱗も全体を覆わない。ジョーの推理は間違ってましたね。くっそ燃費悪い車ってこと。


Q、なんでドラゴンがフィクスの中に入れたの?どういう原理?

A、二話でヒカリが言ってるこの世界特有のよくわからん力とは、当然魔法のことです。

魔法の神髄とは『想像の具現化』にあります。ドラゴンは遥か昔に肉体的には死んでて概念として生きてたって感じです。死ぬ間際に生きたいと願い、その想像が具現化したわけです。そんなことができるならフィクスに入ることだってできちゃうわけ。


Q、戦闘始まって最初に鶏肉が放った火の玉はブレスで消されましたよね?

A、人間、気持ちで力湧き出るだろ。アニメのベイブレードだってプレイヤーが叫んだら回転力増す意味わからん挙動するだろ。


Q、鶏肉がブレスくらって生きてるのなんで?

A、無自覚のうちに体に火を纏い鎧みたいにして耐えてる。そのうち鶏肉が技名考えると思う。

火の玉に「ファイアーボール」って名付けちゃうセンスからして、「ファイアーアーマー」って名付けるよ鶏肉は。

まあ、作者の俺が考えるなら「フレイムアーマー」かな………


Q、みんなの魔力貯蔵量どんなもん?

A、ノア220。エニ130。鶏肉2080。ジョー200。フィクス250。グラリス310。


今回パーティだったからだけど、ノア1人だったら何もできずに負けてる。


ノアの技名はこれをノアが覚えた時、夜なべして考えてました。次の日の仕事は遅刻して鶏肉に怒られてました。


作中ジョーは上裸ってことになってるけど、実はパンイチに近い。エニとドラゴンが悪い。



あとはエピローグになるので第一章はとりあえずここまで。

お付き合いいただきありがとうございます。


これを機に評価等いただけると嬉しいです。ってかしろ(脅迫)

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