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第8話 魔法

 俺は冒険者ギルドを出た後、新米三人組と別れて、再びゴブリンの森に来ていた。

 理由は単純、さっき開始してしまった鍛錬『魔物を50体倒す』のためだ。あと38体倒さなくてはいけない。

 この鍛錬の制限時間は24時間あるので明日でも大丈夫と言えば大丈夫なのだが、森は明日の方がより危険になっているかもしれないこと、明日の朝から始めて昼までに大量の魔物に出会える保証がないこと、鍛錬が1日毎の更新であった場合今日中にクリアしておきたいことから、今来ることになった。



 俺はどんどん森の奥の方へ駆けていく。

 今朝もそうだったのだが、何故か浅い場所にはゴブリンが全く出現しなくなっている。

 このまま行くとまた上位種と出会うんだろうなと察しながらも、俺は進む。


 上位種が出るならそれで構わない。全て俺の経験値に変えてやろう。


「ギャギィ!?」


〈魔物を倒す 13/50〉


 見つけたはぐれのゴブリンをすれ違い様に倒す。

 俺は素材を剥ぎ取らず、速度を落とさないまま更に奥へと進んでいく。


 どうせこいつらの死体は1体あたり250ギルにしかならず、持ち帰るのは結構手間だ。

 一々足を止めていては時間の浪費が激しい。


〈魔物を倒す 14/50〉



〈魔物を倒す 15/50〉


〈魔物を倒す 16/50〉



 ゴブリンが出現する間隔がだんだんと短くなっている。全てはぐれなのが気になるが、俺は更に進んだ。


 ――見つけた。


 ゴブリンの群れだ。少なくとも10匹以上は居るだろう。

 中には上位種……ホブゴブリンも2体居るが問題ない。


 新米3人組の手伝いをした時に分かったが、上位種といえどホブゴブリン程度であればそこまでの相手だ。

 敏捷は恐らく俺の方が圧倒的に高く、体術・回避・集中のスキルも相まって数が多かろうと全てを躱しながら斬り伏せていくことができる。


〈魔物を倒す 19/50〉

〈魔物を倒す 21/50〉

〈魔物を倒す 22/50〉

〈魔物を倒す 24/50〉

 ・

 ・

 ・

〈魔物を倒す 32/50〉


 あっという間に全て倒すことが出来た。

 ステータス上昇による恩恵を強く感じながら、俺はホブゴブリンの死体を剥ぎ取っていく。

 あわよくばゴブリンの増援が訪れるのを期待してのことだったが、残念ながら剥ぎ取りが終わるまで増援が現れることはなかった。


『スキル『回避』のレベルが上がりました』

『スキル『集中』のレベルが上がりました』

『スキル『剣術』のレベルが上がりました』

『レベルが9から10へ上がりました』


〈鍛錬:魔物を50体倒すが完了しました。報酬として耐久1が与えられます〉

 その後も狩りを続けたが、出会うのは普通のゴブリンとホブゴブリンくらいで、最初に出会った上位種……ジャイアントゴブリンと出会うことはなかった。


 まあいろんなレベルが上がったから良しとしよう。

 俺はホブゴブリンの死体を剥ぎながら、新たに追加されているであろう鍛錬を確認する。



 ・同格以上の敵を倒す1体 報酬:全能力値1

 ・初級鍛錬を全て完了する 報酬:ランダムな初級スキル


 へー、そういうものもあるのか。

 俺は予想以上の変化に、内心テンションが上がる。

 全能力値というのも破格だが、何よりスキルが手に入るというのに興味を惹かれた。

 どうやら『初級鍛錬を完了する』はその部分の文字に触れても開始することが出来ないようだ。

 条件を満たしたら自動で達成するということだろうか。


 変化は他にもあり、鍛錬メニューが新しく階級分けされていた。

 これまであった9つのメニューは〈初級鍛錬〉として、今回増えた2つの鍛錬は〈中級鍛錬〉として分けられている。


 今のところ文字が灰色になっていないのは、

 ・MPを使う100MP 報酬:MP10

 ・魔法を受ける10回 報酬:抵抗1

 ・本を読む60分 報酬:魔力1

 ・料理を作る3回 報酬:器用1

 の4つだ。

 一度帰って、このメニューをクリアする方法を考えよう。


 俺はそう決めて、帰路に就いた。



 ◇


 街に帰ってきた俺は、冒険者ギルドで買取を済ませ、武器を修理してもらった後に、本屋さんに来た。

 冒険者ギルドにも書庫はあるのだが、生憎俺のランクでは閲覧許可が出ないので、自分で買うしかないのだ。


『魔法の入門書~魔力操作から属性の付与までこれ一冊で覚えられる!~』50000ギル

『武術の心得~モンスター編~』20000ギル

『武術の心得~人間編~』20000ギル


 などなど。色々と置いてある。

 やっぱ本は高いなあ。

 今日の収入から剣の修理代が引かれて、20000ギル……貯金から切り崩すしかないか……。

 これまでの俺は、親から送られてくる心ばかりの仕送りと、森の浅い場所で採取した薬草を売って手に入った小銭で食いつないできた。

 そんな俺にとって30000ギルはなかなか大金なのだが、未来への投資だと思おう。今日だって20000ギル稼げたわけだし。


 俺はそう決心し、『魔法の入門書』を持ってレジへと歩いていく。

「――あれ、シュウさん?」

 さっき別れたはずの女の子……シアに声を掛けられた。


「シア……? どうしてここに?」

「私は本を読むのが趣味なんです……と言っても高いから、いつもは次に買う本の品定めだけして帰っちゃうんですけどね……あれ? それ魔法書ですか?」

「ああ。魔法を使ってみたいと思ってな」

「だ、だったらうちに来ませんか? 私が使ってた魔法書があるのでそれをあげますよ」

 俺が持っている魔法書に気付いたシアから、驚きの提案が飛んでくる。


「いや、それは流石に悪いよ……」

「これくらい気にしないでください! シュウさんは命の恩人ですから」

 これくらいって……中古とはいえ50000ギルの価値がある本を今日出会ったばかりの他人に上げるなんて、相当なお人好しなんだろう。

 とはいえ、それが俺にとって都合がいいのも間違いない事実。


「シアがそう言うなら、今日は好意に甘えようかな」

「よし、それじゃあこれから行きましょう! おばあちゃんお客さん取っちゃってごめんね!」

「気にしなさんな。またおいで」

 シアはレジに居た老婆にそう言って軽く謝る。

 二人の様子を見た感じ、恐らく仲が良いのだろう。

 俺は老婆に「また来ます」と伝えたあと、手に持っていた魔法書を棚に戻し、シアと共に店を出た。


 ――――――――――――――――――――

 読了ありがとうございます。 

 こちらは現在のステータス情報です。

 ――――――――――

 年齢:15

 レベル:10(+1)

 HP:295/295(+25)

 MP:160/160(+10)

 力:39(+3)

 耐久:29(+3)

 敏捷:25(+2)

 技術:27(+2)

 器用:20(+2)

 魔力:16(+1)

 抵抗:18(+1)

 ギフト:修行

 スキル:『剣術Lv4(+1)』『体術Lv3』『毒耐性Lv1』『回避Lv2(+1)』『不屈Lv1』『集中Lv2(+1)』

 称号:【強敵殺しジャイアント・キリング

 ――――――――――

 ――――――――――

『修行』

《鍛錬メニュー》

〈中級鍛錬〉

 ・同格以上の敵を倒す1体 報酬:全能力値1

 ・初級鍛錬を全て完了する 報酬:ランダムな初級スキル

〈初級鍛錬〉

 ・剣の素振り1000回 報酬:技術1 済 

 ・腕立て伏せ1000回 報酬:力1 済

 ・ランニング10km 報酬:敏捷1 済

 ・ダメージを受ける100HP 報酬:HP10 済

 ・魔物を倒す50体 報酬:耐久1 済

 ・MPを使う100MP 報酬:MP10 未

 ・魔法を受ける10回 報酬:抵抗1 未

 ・本を読む60分 報酬:魔力1 未

 ・料理を作る3回 報酬:器用1 未

 ――――――――――

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