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友達と一緒に異世界転生したら、俺だけ30年後の未来でした。 ~伝説の勇者と魔法使いは親友で、魔王は討伐されている!?~  作者: 菊池 快晴@書籍化決定
エルフの集落

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第53話:決着

「どうやら間に合ったようじゃの」


 インザームは落ち着いた表情のままアイレに声をかけた。隣にはアズライトとルチルも立っている。


「な、なんでここに!?」


「後でゆっくり話すとしよう……フェアは気を失っているだけのようじゃの」


「ああ……でも、大勢の仲間が……死んだ」


 インザームはヴェルネル達から目を反らさずに警戒を解かずに無事を確認した。


「インザームとあの時の二人か。やはり殺しておけばよかったな」


 少し離れた場所でヴェルネルがインザーム達に気づいて舌打ちをした。


「ヴェルネル。お主の魔力は以前と比べ物にならんほど悪意に満ちておる。遂に心まで染まったようじゃの」


「はっ。何を言っている? 僕は裏切られても尚この世界を救おうとしている。知ったような口をきくな!」


「いいえ、あなたはただの虐殺者です。救うなど良く言えた物ですね」


 アズライトは尊敬していたはずのヴェルネルに対して吐き捨てるように言葉を言い放った。


「この世界を何も知らない若造が! お前ら!」


 ヴェルネルの言葉と同時にイフリートは炎の玉をセーヴェルは魔法をアイレ達に放った。


――ちぃ!


 アイレが防御態勢に入った時、アズライトが単身で前に出ると魔力を帯びた長い剣でその全てを切り裂いて跡形もなく葬った。アイレはその動きを見て

なんて無駄のない動きなんだと驚愕した。


「ヴェルネル、部下の攻撃には想いが足りてないようですが」


 アズライトの言葉にヴェルネルは更に苛立ちを見せた。


「アイレくん。まだ戦う事はできますか?」


 アズライトが地面で膝をついているアイレに声をかけた。


「――俺が最後まで諦めないのは知ってるだろ」


 その言葉を聞いてアズライトは小さな笑みを浮かべアイレは立ち上がった。

 アズライト、アイレ、インザーム、ルチルは横並びになりそれぞれ戦闘態勢を構えた。


「何度やっても無駄だ。そこに倒れてる奴らと同じ目に合うだけだ」


 ヴェルネルが冷たくあしらったが、アイレの体中に再び魔力が変換させた電気が流れた。


「どうだろうな――」


 アイレが誰よりも早くヴェルネルに向かって真っすぐ突撃した。すぐさまユークとセーヴェルがアイレを止めようとした時、アズライトとインザームが二人に飛び掛かった。


「邪魔はさせませんよ」

「誰よお前ッ!!」


「セーヴェル。お主の事はよく覚えておる。……スィエーヴィルの為に罪を犯し続けるのはやめるんじゃ」

「黙れ! 妹の話をするな!!」


 イフリートは羽を広げて高く跳躍すると上から火の玉をアイレ達に投げつけたが、ルチルがそれを魔法ではじき返した。


「……またエルフか」

「ルチルは強いよ?」



 シンドラだけは動かずにただその戦いを眺めていた。


 アイレは再びヴェルネルに向かって幾度となく剣を振り続けた。ヴェルネルはそれに対して防戦一になっている。


「ヴェルネル――俺は――お前を殺してでも――止める!――」

「ちぃっ――! 黙れ――偽善者が――!!」


 剣速も重さも段々と上がっていくアイレにヴェルネルは苦悶の表情を浮かべた。魔族になったヴェルネルの強さは計り知れない

それでも、アイレの想いが勝りかけていたまさにその時。



 ルチルとシンドラが同時に何かに気づいた。


「アズアズっ! 来た!」

「魔王様! 大勢の兵士がこちらへ向かってきています。既にエルフ達の魔力の回収も済んでおり、ここは退くべきかと」


 それを聞いてヴェルネルはアイレの剣を弾いて後方に下がると、全員を呼び寄せた。


「命拾いしたな、アイレ。これから世界は大きく変わるだろう。次に会う時はもう容赦はしない」


 シンドラは一瞬で黒い転移窓を作った。


「インザーム。君はわかってくれると思っていた。残念だよ」


 ヴェルネルは最後にそう言いながらセーヴェル、ユーク、イフリート、シンドラと共に窓を潜って消えた。


「アズアズ! ルチル達も急がないと!」


「ああ、直ぐに行こう。全員、運べるか?」


「やってみるっ!」


 ルチルもシンドラと同じ様に黒い転移窓を作った。


「アイレ、ワシらもここにいてはまずいぞ」


「ああ……行こう」


 アイレは消えたヴェルネルを名残惜しそうに眺めてからフェアを急いで担いだ。インザームはロックとグレースを抱えすぐに窓を潜った。


「……ワイズ……ミット……フルボ……すまねぇ……」


 ロックは窓を潜る前にインザームの肩の上で誰にも聞こえない声で呟いた。

 

「アズアズっ! その人まだ生きてる!」


 最後にルチルが大声で倒れているフォンダトゥールに指をさした。アズライトが近づいて心音を確かめるとまだ微かに息があった。


「……なんとか助かりそうだ」


 アズライトはフォンダトゥール抱えた。最後にルチルは大勢のエルフの死体を悲しげに眺めて、ごめんねと囁いて窓を潜り閉じた。


 その直後、エルフの集落にはアゲート・シュタインとオストラバ王国の大勢の兵士達が現れると、エルフの死体とレグルトの首を見つけた。


「一体何が……」

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