2話目
ソウタたちは会話を中断して、ヒロシはサヤカにこう言った。
「飯も終わってくっちゃべってただけだし、手は空いてるぜ。」「何か用か?」
「校外活動のプリントを印刷するのを手伝って欲しいの。」
「良いぜ、ソウタも来るだろ?」
「……ああ。丁度、暇してたしな。」
「職員室の印刷機を借りて、この紙をクラスの人数分印刷してきて欲しいの。私は他に用事があるから助かるわ。」
そう言って、サヤカは1枚の紙をソウタに渡し、教室の外へ行ってしまった。ヒロシはサヤカの後ろ姿を見て言った。
「クラス委員長は大変だな。」
プリントの内容は校外活動のお知らせだった。
(やれやれ、校外活動なんてあるのか…。集団行動めんどくさそう〜…。)
ソウタとヒロシは1階の職員室までプリントを印刷することになった。
1年の教室は4階なので、1階までしばらく距離がある。階段を降りながら、ソウタとヒロシは喋っていた。
「なあ、ソウタ。印刷したプリントはどこに置けば良いんだ?」
「そうだな……。教卓にでも置いておけば良いと思う。」
「そうか。教卓にあれば、帰ってきたとき委員長もわかるかもな。」「委員長の机に置くのはどうだ?」
「……それもわかりやすいしアリだと思うが、どうせ前から配るし教卓の方が手間が少なそう。」
「なるほど、たしかに!」
「いつも思うが、ソウタは細かいところまで気が効くよな。」
「神経質なだけだ。」
裏で奇怪な事件を解決してるソウタの身としては、少しのミスが命の危機に関わるため、ソウタは神経質にならざるを得なかったかもしれない。いわゆる、職業病というものだ。
「あ、そうだ!印刷したついでに、封鎖された女子トイレを見に行かね?」
「お、良いよ。どんな様子か気になるしな。」
プリントの印刷の成り行きで、教室でヒロシから聞いていた封鎖された女子トイレを見に行くことにした。
(放課後調べに行く予定だったが、移動するついでに少しだけ様子を見よう。)
ソウタたちは職員室でプリントを印刷し終わり、1階の例の女子トイレを見に行った。
トイレの惨状は酷い有り様だった。
トイレの入り口はスライド式の扉が付いているのだが無くなっており、黄色のテープが✖️印を示すように入り口に貼られていた。中のトイレは破損しており、パイプや破片などが床に散らばっていた。床は液状化して少しドロドロしていた。
「…おぉ。こりゃひでぇな。」
隣でヒロシは固まり、ポツリと呟いていた。
そんな中、ソウタはトイレの惨状よりも別のことに気を取られていた。
(………!何か怪しい気配がする…!)