下校でビックリ
さて…… 学校も終わった事だし今日も間宮さんの安全のために尾行しよう。
そう思って気配を消して昇降口で間宮さんを待ち伏せる。
あれ? おかしいな、いつもだとこのくらいの時間に来るはずだけどどこかに寄ってるのかな?
ハッ!! も、もしや誰かと校内デートでも洒落込んでいるのでは!? でも僕の間宮さんに限って…… いや、間宮さんの意思とは関係なく前の男みたいに無理矢理迫られたりとか?
それならありえる、校内をパトロールした方がいいか? 間宮さんの靴もまだあるし学校内だ。
んん? 靴? 今までは普通にスルーしていたがよくよく考えれば間宮さんの靴って間宮さんの足の匂いが染み付いてるはずだよな?
………… 嗅いでみたい、そして舐めたい、一体どんなフレーバーな味と香りがするのだろう?
ちょうど誰もいない。 やるなら今しかない! そう思い間宮さんの靴を手に取ろうとした時……
「あれー? 西野君」
こ、この透き通るような声は…… 恐る恐る後ろを振り向くと間宮さんが居た。 な、なんて最悪なタイミングで出くわしてしまったんだぁ…………
「ま、間宮さん…… 」
「あたしを見てそんな引きつった顔しないでよ、さっきは失礼な事言ってごめんね? もしかして怒っちゃった?」
失礼な事?? あ、例の二人三脚のペアで僕が運動音痴っぽそうって事か。 てか実際そうだし運動出来そうと思われてもがっかりされるので別にいい。
「別に……」
コミュ力がないせいで沢○エリカみたいにふて腐れたように言ってしまつた。
「もぉー、やっぱ怒ってるんじゃん? てかあたしの靴の前で何してるの?」
き、きたぁーーーッ! 一番聞いてはいけない事だそれは…… 間宮さんの靴を嗅いで更に舐めようとしていた事なんて言えるわけもない。
「うえッ!? な、そりは、ハッ!」
「え? なんて?」
「………… ま、間宮さんまだ居るんだなって……」
苦し紛れにそう言ったが普通にキモいだろう。 僕なんかが間宮さんが居るか居ないか気にしてどうする? 怪し過ぎる……
「ん? どうして西野君が? あ……」
間宮さんが不思議そうにそう言った途端表情が変わる。 マズい、嘘だとバレたか?
「もしかして西野君……」
ゴクリ…… ヤバい、変態と罵られる、ある意味間宮さんから変態と罵られたいけど。
「あたしと二人三脚特訓しようとか思ってた?」
「…… はへ?」
特訓…… ? 何を言ってるんだ間宮さんは? だけどこれはチャンス!!
「あれ? 違うの?」
「う、ううん! その…… 通り」
そう言うと間宮さんは「ほらねぇ!」と言って微笑む。 なんて…… なんて可愛らしい勘違いなんだ、どう見ても僕の行動言動は怪しかったかもしれないのに間宮さんの無垢な心にまた救われた。
「でもなぁ、いきなりそんな事言われても。 うーん、あ、そうだ! あたしの家の近くに公園あるんだよ、そこで練習してみる?」
「ま、間宮さんと?」
「あたししかいないじゃん? 今更ペア変えるの?」
僕はブンブンと首を横に振ると間宮さんはじゃあ決まりだねと言って公園に向かう事になった。 そして間宮さんと公園に向かっている最中……
「いやぁ、まさか西野君から特訓の申し出受けるなんて思ってもみなかったよぉ、やる気あるんだね」
「え? い、一応」
ヤバい、間宮さんが隣に居るとクラクラしてきた。 これは現実なのか!?
「心なしか西野君フラフラしてるけど大丈夫?」
「大丈夫!」
「わッ、またいきなり声が大きい」
こんな所で気絶したら間宮さんに迷惑が掛かってしまう、太ももを抓り上げ痛みで紛らわす。
てか僕全然間宮さんと会話できてないぞ? 一言二言で終わっている、コミュ力のなさがこんな時は腹立たしい。 間宮さんは今どう思っているだろうか?
「ふんふーん♬」
気付けば間宮さんは隣で携帯を弄っていた。 やっぱり僕相手だと暇なのかもしれない。
気付かれないように目だけ動かして間宮さんの携帯の画面を見る。 んー、あんまりよく見えないけどメール打ってる?
も、もしかして違う男とか!? と思った瞬間ポケットに入れていた僕の携帯が振動する。
なんだろう? と思い何気なく見てみると…… 間宮さんからだった。
『約束通りメールしたよ? でもごめんね、まだ帰ってないからお話あるなら帰ってからね』
は? え?
そうだ!! 僕は朝に間宮さんにメールを送っていたんだ!
『夕方メールしてくれ』……と。 間宮さんと繋がっていたくてメールならそんな事も言えると思って送ったんだけど間宮さんはそれを覚えていて今僕にメールしてくれたんだ。
なんて律儀なんだ間宮さんは。 僕がジーンとしていると間宮さんがこちらを見ていた。 あ…… これってマズいような気が…………