天使の告白
夏休みがもう終わる直前のある日の朝、目を覚まして僕は間宮さんの部屋を覗くとカーテンが閉められていて貼り紙が……
今すぐ来て
そう書かれてあった。 え? いつから貼られてた? まさか結構前から? いけない! そんなのどうでもいい、間宮さんが呼んでいるなら行かなきゃ!
僕は朝っぱらから慌ただしく玄関を出て走って間宮さんの家へと向かう。
一体何があったんだろう?
鼓動が激しくなる。 角を曲がり公園を通り過ぎてもう少しという所、公園に人影がありまさかと思って戻ってみるとブランコに間宮さんが座っていた。
「やっほー。 早いね、やっぱり見てくれたんだね」
「間宮さん…… 一体どうしたの?」
「ごめんね、実はどうもしてないの」
「え?」
「あ、違った。 どうもしてないわけじゃないや。 結構…… ううん、とっても大事な事」
間宮さんはブランコから立ち上がると僕の正面に立った。
「間宮さん?」
「あたしね、今までツー君の事振り回していろいろ迷惑かけてツー君に大変な思いとかさせたの悪かったって思ってる。 最初から騙して叩き落とそうとしたりワガママばっかり言ってたよね。 今更だけど本当にごめんなさい」
間宮さんは僕に頭を下げて謝った。 え? どういう事? もう済んだ事だよね? それに僕は間宮さんにそんな事で嫌とかそんな風に思った事ない。
「あ、あの…… 間宮さん、どうしてそんな事を?」
「一応ね、ちゃんと踏ん切り付けたくて。 これで最後だから」
「最後!?」
最後って…… 僕と間宮さんはこれで終わりって事? 嫌だ、そんなの嫌だ!
「だからごめんねツー君。 性悪なあたしを天使って言ってくれて嬉しかったよ」
間宮さんは少しぎこちない笑顔を向けて僕にそう言った。
「えっと…… あの! 間宮さんが何か思い詰めて僕に悪いとか思ってるなら全然そんな事ないから! 僕は騙されてようとなんだろうと間宮さんに構ってもらえてとても嬉しかったんだ! なんだったら前みたく嘘でも僕で遊んでくれて構わない、見下して間宮さんの気が済むようにストレス解消でもなんなりと僕を使ってくれて構わないから!」
僕は必死だった。 間宮さんは僕から離れようとしている、それを阻止するためなら僕はなりふりかまわない。
「うん。 でもそういうのは嫌」
ガーーーーン…… 僕の必死の食い下がりも一蹴されてしまった。 何か…… 何かないのか?
「僕は…… 僕は」
なんとか言いたいけど身体が震えてきてまともな思考も回らなくなってきた。 下を向いていると間宮さんの手が僕の頬に触れた。
「ツー君あのね……」
「…………」
「聞いてくれないの? 顔上げて」
頬に触れる間宮さんの手が熱くなってきていた。
「お願い」
間宮さんを向くと間宮さんの顔が少し赤くなっていた。
「あたしね、ツー君の事が好きなの」
「え?」
まさかの事で頭が真っ白になった。 好きなの…… 好き? それって? 好きって好きって事の好き? 僕の事が?
「だ、だだだって今僕から距離を置こうとしていたような!?」
「ん? ああ、ごめん。 恥ずかしくて…… そんな風な言い回しになっちゃった。 だってもしフラれたりしたら今度こそ立ち直れるかわかんなかったし……」
「ぼ、僕が間宮さんにそんな事するなんてありえないよ」
「そうだと思ったけどツー君の事好きって自覚するとそれでも怖いんだよ…… そ、それで? こんなあたしでもいい?」
僕はそれを聞いて止めどなく涙が溢れてきた。
「え!? ツー君? 大丈夫?」
「ご、ごめん、間宮さんからそんな事言われるなんて思ってなかったから嬉しくて…… ぼ、僕は間宮さんとだったら一緒に死ねる、今すぐにでも!」
「こら! そういうのはダメ! まったく…… じゃあOKって事だよね?」
「う、うん。 僕はこの世で1番間宮さんの事が好きだ、だって僕の天使だから。 ん!?」
そう言った瞬間僕は間宮さんにキスをされていた。
「しちゃったね、天使とキス。 あたしはもうツー君のものだよ」
間宮さんは僕をギュッと抱きしめる。 そんな間宮さんを僕も抱きしめた。
「好きだよツー君」
「僕も間宮さんが好き」
「つーちゃん」
「え?」
「これからはつーちゃんでいいよ? ツー君とつーちゃん、なんか良いじゃない!」
二パッと笑って間宮さんはそう言ってくれた。
「つーちゃん……」
「ん、なぁに?」
「呼んでみただけ……」
「んふふッ、いいよツー君。 あたしをどうぞよろしくね」
ここまで読んでくださった方どうもありがとうございます。 またひっそりとそのうち新しい小説を書いたらよろしくお願いします(^^)




