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間宮さんと僕


「はぁはぁッ…… 暑いな」



間宮さんの家へと走る僕は汗を拭い走る。 あんだけ部屋に閉じこもっているとちょっと走るだけで疲れるな……



ようやく間宮さんの家に着くと僕はインターホンを鳴らした。 大丈夫、間宮さんの親はもうどっちも仕事に行った。 間宮さんしか居ないはずだ。



「はーい」



間宮さんの声が聞こえドアがガチャッと開いた…… と思いきや僕が見えた瞬間に間宮さんはドアを閉めようとした。 僕はその瞬間ドアに足を挟み阻止する。



「なんのつもり?」

「間宮さん会いたかった」

「お生憎様、あたしはこれっぽっちも君に会いたくありません」

「ううん、そうはいかないよ。 間宮さんが苦しんでるなら今度は僕が間宮さんを助ける番だ」

「はぁ? 何言ってるの? てか何この臭い? く、臭いッ」



臭いに怯んだ瞬間に僕はドアを一気に開けた。



「間宮さん……」

「これ西野君から!? 臭いんだけど? 近寄らないで」

「木ノ下から聞いたよ」

「え? 聞いた?」

「間宮さんの事」

「歩美の奴…… 本当使えないわね!」



間宮さん…… わかってるよ。 あれもこれも全部僕のため。



僕が間宮さんに近寄ろうとすると間宮さんはそれを拒むかのように退がる。



「だから西野君は物理的に無理なんだって。 今なんか特にそう、汚物にしか見えないから」

「間宮さんは僕が変わればみんなも変わるって言った。 その通りかもしれないって僕は思った、現に倉石と僕は仲良くなれた。 他はまだわからないけど」

「雫? 雫みたいな子はなかなかいないよ? 西野君みたいなダメダメな人間を好きになれる女の子なんてどれくらいいると思う? あたしには無理。 西野君に対してキスしたり優しくしてあげるのにどれだけキツかったと思ってるの?」

「でも間宮さんは僕に対して優しくしてくれた。 それは間宮さんがその時僕にそうしようって思ってくれたから。 たとえ思惑があっても行動と心の声が掛け離れてたってやるとやらないでは大違いなんだ。 それは僕がわかってる、間宮さんに僕は憧れて、今僕がこんな事をしているのだって少し前だったら僕は行動しようとも思わなかった、変えてくれたのは間宮さんだ」

「はぁ〜、人の話聞いてた? 西野君がどう思ってもあたしは君の事無理って思ってるから」



間宮さんはうんざりしたように僕の方へ近付いて来て玄関のドアを開けた。



「もう帰って? それに臭い。 どんな生活してるとそんな風になれるわけ?」

「間宮さんの家を片時も目を離さずに生活してた」

「キモ…… 部屋に閉じこもって? ヒッキーじゃん。 でも西野君にはお似合いね、さっさと出てってくれる?」

「いやだ」



間宮さんの手を掴んで僕はドアを閉めると間宮さんはとても不快そうな顔をしてこちらを見る。



「触んないでよ汚い!」

「間宮さんはまだ中学生の頃好きだった人が気になるの?」

「はぁ? 西野君には関係ないよ」

「あるよ。 間宮さんはまだそれを引き摺ってるからこういう事してるんだよね? でも僕は今はそれで良かったって思ってる」

「君のいう事がさっきからとんでも理論過ぎて全然わかんないんだけど?」

「だって間宮さんの中で全て解決していれば僕に構ってくれる事もなかったし僕もこうして変わる事もなかった。 だからその点だけはその人に感謝する」

「そんなんどうでもいいけど帰ってくれない? 西野君のやってきた事全部バラしちゃっていいの? 変わって認められるどころか世間的に死ぬけど?」

「やればいいよ」

「え?」

「僕は間宮さんが居ればそれでいい。 周りからどう思われたって結局僕は間宮さんから認められればいいんだ。 僕は間宮さんを好きだって思ってる事を誇りに思う」

「なんか良い事言ってるみたいだけど西野君が汚過ぎて全然頭に入ってこないんですけど?」



僕は…… それでも諦めないぞ! 僕は間宮さんの手を自分の方へ引きそのまま抱きしめた。



「きゃッ、な、何すんのよ!?」

「間宮さん! 僕は間宮さんに寂しい思いなんかさせない、間宮さんが好きだった男よりも見た目は勝てなくても中身で勝ってみせる! うぐッ……」



間宮さんに横腹を肘打ちされ間宮さんは僕から離れた。



「はぁ!? はぁああ!? 見た目はもうあれだけど中身? 西野君の中身なんてズブズブのストーカーで卑屈で思い込みだけは激しくて最低最悪じゃない! 自分を客観的に見れないの!?」

「うん、それはわかってる」

「わかっててよく言えたわね!」

「だけど間宮さんに対する気持ちだけは誰にも負けないつもりだよ。 僕がこんな事するのは間宮さんだけ、間宮さんは僕の天使だ。 だから間宮さんがどうしようもなく苦しんでるなら僕が支えになりたい、間宮さんを助けたい!」

「バカ過ぎる…… 西野君って想像以上にバカだったんだね」



僕は間宮さんに必死で食い下がった。 すると間宮さんは大きな溜息を吐いた。



「…… 助けが必要なのは西野君の方だよ。 臭過ぎて死にそう」



そう言うと間宮さんは奥の方へと歩いていって戻ってきた。



「とりあえずお風呂入って?」

「間宮さん…… 」

「それ以上こっち来るな! その服も洗濯だね、マジ汚いから」



間宮さんの家のお風呂使っていいの? え? これってどういう事なんだろう?




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