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間宮さんには敵わない


「んーッ! おいひぃッ! やっぱ雫は料理上手いなぁ」

「飲み込んでから喋りなよ行儀悪い」

「こんな時でもないと雫の手料理食べれないもんねぇ。 雫がこんなに料理上手いなんて意外でしょ? 西野君」

「本当だ」



まぁクッキーも美味しかったし。 サラッと作ってのけるんだな。



「意外はいらない! 美味しいんだ、西野も」

「うん、そりゃあ」

「なら良かった」

「うん? あれれぇ? なんか付き合いたてのカップルみたいだぞぉ〜?」

「そ、そんなんじゃないって!」

「西野君そうだ! あーん」



間宮さんがパスタをフォークに巻き付け僕の口の前に差し出した。 こ、こんなリア充みたいな事僕に…… 僕に出来るのか!?



「あ! ちょっとぉ! なら私もしてあげる。 ほら西野!」



2人からフォークを突き付けられた。 こんな奇跡が僕の身に起きるなんて…… これもやはり間宮さんのお陰、倉石が僕に気を向けるのも間宮さんがあったからこそ。 口を開けると2人にパスタを詰め込まれた。



「どう? 西野君」

「嬉しい? 西野」



僕はコクコクと頷いてパスタを飲み込んだ。 はッ!! これは2人と間接キスをしたのか? 



「間接キスしちゃったって思ってる?」

「あ…… そう言われれば。 したね? 西野」

「西野君、あたしにもして?」

「!? わ、私にもして…… いいけど」

「じゃああたしと雫とどっちにしたいか西野君どうぞ!」



ど、どうぞ? どうぞと言われましても…… 僕は2人を見ながらパスタをクルクルとフォークに巻き付ける。 僕は一体何を迷ってるんだ? 間宮さん一択だろ? 



2人とも笑顔でこっちを向いている。 く、倉石も間宮さんに比べたらポッと出、ポッと出なんだ! 



「はーやーく!」



間宮さんがそう言った所で玄関のドアが開く音がする。



「あ、帰って来ちゃった」

「あー、そっか。 もう8時過ぎてたんだ」



キッチンのテーブルに間宮さんのお母さんが顔を出した。



「あら? お友達? って雫ちゃんじゃない、いらっしゃい。 それと……」

「おかえりママ。 こちら西野君だよ、あたしの友達」

「まぁ。 つかさがいつもお世話になってます」

「西野勉です、こ、ここ、こちらこそ間宮さんには学校で仲良くしてもらってます」



いけないいけない、間宮さんのお母さんと思うと緊張してしまう……



「雫がね、夕飯作ってくれたんだ」

「あらぁ、雫ちゃんって家庭的なのねぇ、今度つかさにもお料理教えてあげてね? この子下手くそだから」

「ママ! 余計な事言わないの!」



夕飯を食べ終え今日は帰る事になった。 



「今日はお見舞いに来てくれたようでありがとうね。 また遊びに来てやってね?」

「ママ、あたし2人を見送ってくるね」



玄関から出るともう流石に真っ暗だった。



「じゃあ西野、また明日ね。 つかさもお大事にね」

「うん! 今日はありがと雫! 西野君」



そして僕は家に向かう。 間宮さんの家にまた行けたし僕はとても満足していた。 ベッドで間宮さんの身体とくっついてしまった。 僕がその時の事を思い出して歩いていると……



「西野君!」

「え? ま、間宮さん!?」

「えへへ、ビックリした?」

「なんでここに?」

「ママにね、雫が忘れ物したから届けてくるって言って出て来たの」

「ああ……」



間宮さんは僕の隣に来ると「ほら行こう」と歩き出す。



「今日は来てくれてありがとね」

「あ、ううん。 突然来ちゃってごめん」

「んふふッ、昨日も突然家の前に居たもんね。 あたしの事そんなに気になる? いつも覗いてるくせにね」

「が、学校来てなかったから間宮さん」

「そういえばもうそろそろ夏休みだね、そうなると西野君に学校で毎日なんていかないもんねぇ」



そうなのだ、前だったら夏休みは学校行かなくて済むから最高だったのに今は辛い。 



「でもー、西野君には雫と木ノ下さんがいるから寂しくはないのかな?」



吸い込まれるような視線を向けて間宮さんは僕にそう言った。 な、何故倉石と木ノ下がそこで……



「ぼ、僕は…… 間宮さんが」

「あたしが? 何かな?」

「間宮さんがいい……」

「うふふッ、よく出来ました。 ご褒美」



間宮さんは僕の顔を引っ張って頬にキスをした。 



「ま、間宮さん!?」



て、天使のキスだ…… 今日は顔を洗えない、洗いたくない。



「ふふふッ、こういうのって恥ずかしいねぇ」



間宮さんは少し頬を赤くしてそう言った。



「て、天使だ……」


「あー、でも雫にも木ノ下さんにも悪いしこんな事あんまりしない方がいいのかなぁ?」

「そ、それは! …… そ、そんな事ない! 間宮さんは天使だから!」

「そう。 なら西野君またしてあげるから良い子にしてるんだよ?」



間宮さんは僕の頭を撫でて来た道を引き返して行った。



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